★個人ウォーク 「紅葉と狛犬を訪ねて」 12/10
12/10は、2つのウォーク企画の予定が重なったため、1つは早々に断り、もう1つの「比叡山登山」に絞って準備を整えていました。しかし、週間天気予報は一転し、前日には雨が降り、当日は雨は上がるも曇天で、終日寒気に覆われるとのことです。念のため比叡山頂の気温を調べると2-3度とのことです。恐らく登山道も濡れて滑りやすくなっているに違いなく、寒さにも弱く、リハビリ中の私には不向きと判断し、参加を諦めました。ところが、当日の昼前には青空も見えてくるほど天気は回復し、朝から身体をもてあましていた私は、午後から半日だけ歩きに出掛けました。
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古代より、モミジの名所として名高い 竜田(たつた)川の紅葉 です。第10代・崇神(すじん)天皇が龍田明神に行幸され、五穀豊穣を祈り、上流から流れてきた八葉の楓(かえで)葉を龍田の神さまに献上されました。のちに文武天皇も行幸された際に、紅葉をご覧になり大変感動されました。以来、竜田川は紅葉の名所として讃えられ、数多くの和歌に詠まれ、紅葉と云えば竜田川と親しまれほどになりました。写真のモミジはイロハモミジです。
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JRで法隆寺駅まで行き、13時20分、駅前から散策スタートです。20数分で 法隆寺境内 に到着ですが、今は金堂他が修理中で金剛力士像も見られず、西門に抜けて、土塀に挟まれた細い道~西里の街並み~を進みます。
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久しぶりに 藤ノ木古墳 を訪ねてみました。淋しいくらい閑散としていました。この寒い時期には法隆寺へは来ても、藤ノ木古墳へ来る人は余程の歴史好き・古代史ファンぐらいなんでしょう。藤ノ木古墳は、直径50m、高さ9mの円墳で、古墳時代後期・6世紀後半の築造です。未盗掘の古墳と云う非常に珍しい状態での発見でしたので、1985年からの調査では、玄室内には2人の人骨と多数の副葬品~冠や履、各種の金銅製品、銅鏡、刀剣、多量の玉類と金属製装身具など~が殆ど埋葬時のまま残されていました。これらの豪華な副葬品は、藤ノ木古墳の名を一躍全国に知らしめました。現在、藤ノ木古墳からの 出土品は国宝 に指定されて、橿原考古学研究所附属博物館で常設展示されています。
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龍田神社 に寄ってみました。聖徳太子により創建されたと伝えられています。太子が法隆寺を建立するための土地を探していたとき、老人の姿になった龍田大明神が現れ、必要な土地を示したと伝えられています。
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ここへ立ち寄ったのは、龍田神社・狛犬 に再会したかったからです。特に、左の吽形の狛犬の可愛らしさは格別です。大きなドングリ眼で、上から見下ろすような仕草には、思わず抱きつきたくなる程です。
奈良文化財同好会・狛犬の会著 『狛犬の研究』 (1987年刊)によると、文化四丁卯四月吉日(1807)、大坂備後町五丁目 吉田屋伊兵衛、の刻銘が読み取れるそうです。奈良県下では古い年代の狛犬に属します(丹波の佐吉の狛犬よりも40-50年ほど古いです)
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奈良街道を西へと歩き、竜田大橋に出て、竜田川沿いの 奈良県立竜田公園 を散策します。名高いモミジはまだ残っていました。午後からの暖かい日差しを浴びながら、しばし紅葉散策です。
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竜田川と紅葉橋。ここは紅葉時の撮影スポットですが、このあたりは紅葉もほぼ終わりかけていました。
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竜田川沿いのモミジの紅葉、ケヤキの黄葉を、そこそこに楽しめました。
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竜田川公園を出て、三室(みむろ)山に登ります。百人一首で竜田川を詠んだ和歌2首~能因法師と在原業平。
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三室山・山頂(標高82m)にある 能因法師の供養塔(五輪塔)
三室山は、竜田川の西に位置する小さな山で、別名を神奈備山(かんなびやま)と云います。「みむろ」「みもろ」は本来「神が降臨してやどる場所」という意味です。
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三室山に来たら、ここにも立ち寄らなければなりません。山頂より少し下にある 神岳(かみおか)神社 です。
聖徳太子が斑鳩宮を建てるとき、三輪山の神を三室山に祀ったと云われています。当初は社殿などは無く、自然の森や山(三室山)を神として崇拝していたそうです。
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ここでのお目当ては、拝殿前に建つ ”佐吉の狛犬” です。長らくのご無沙汰でした。心なしか太い注連縄が緩んで足元にずり落ちていましたが、元気にしていました。当狛犬については、第5回”丹波の佐吉” をご覧ください。
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お利口さんにしていたので、ペッシャンコの頭を撫で撫でしてあげます。落ち窪んだ眼でジッと見つめられると、このまま吸い込まれていきそうな気持ちになって来ます。各地の”佐吉の狛犬”に再会したい気持ちが俄かに高まって来ました。
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竜田川が合流した大和川の堤防を王寺駅方面に歩き、昭和橋を渡ります。王寺駅前に建つ聖徳太子と愛犬・雪丸の看板(左)と、王寺町の達磨寺・境内に建つ雪丸の像(右:2011年2月撮影)です。雪丸は
、雪のように白く、とても賢くて、人の言葉が理解出来たと云われています「達磨寺略記」には、”達磨寺を守るため本堂の丑寅(北東)隅に葬って下さい”と、雪丸は遺言して亡くなったと記されているそうです。今は王寺町のゆるキャラとして復活し愛嬌を振りまいています。もう16時です。暗くならない内にと、JR大和路快速に乗り加茂駅へと戻りました。本日の歩程は 10.1km でした。