「十日戎」と書いてあると、関西の人間は、すぐに分かるのですが、それ以外の地区の人には結構「何?」なんだそうです。①兵庫の西宮神社、②大阪の今宮戎神社、③京都のゑびす神社、の3社が日本三大エビスと称され、いずれも初えびすの本祭が1月10日に行われますので、関西では、初えびす=十日戎(とおかえびす)が常識となっていて親しまれています。でも、名古屋の熱田神宮の初えびすは1月5日に行われますので、愛知県あたりでは、五日戎(いつかえびす)が当たり前のようですし、全国的には初えびすの日は各々違うようです。
さて、当地(木津川市加茂町)にも、小さなエビス神社が幾つかありますが、初えびすの日がいずれも異なっているのも興味深いことです。当地の初えびすを日程順に取り上げてみました。
★中森・恵比須神社 初えびす 1/3
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中森地区にある恵比須神社の初えびすは「三日えびす」です。この地には春日若宮社と恵比須神社が隣り合って祀られていますので、地元の初詣客は両方にお参りされたあと、福笹も買って帰られます。
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残念ながら、中森恵比須神社の詳しい由来はわかりません。ちなみに、「えびす様」は七福神の一人ですが、唯一の日本の神様です。他の六人は外国生まれの神様です。漢字では、夷、戎、胡、蛭子、蝦夷、恵比須、恵比寿、恵美須などと表記されます。関西での通称は「えべっさん」です。

★森・恵美須神社 1/5
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森地区にある恵美須神社の初えびすは「五日えびす」です。
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森八幡宮の参道石段を上がります。
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森八幡宮・本殿の横に建つ小さな祠が恵美須神社です。

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森八幡宮の末社となっている恵美須神社ですが、こちらも詳細な由来は分かりません。

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社務所で福笹を買い求めて、温かいぜんざいを食べて帰るのが地元の習わしのようです。

★河原・恵美須神社 1/10

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河原地区にある恵美須神社の初えびすは、一般的な「十日えびす」です。先ほど、えびすは日本の神様と書きましたが、実体はイザナギとイザナミの子である蛭子命(ひるこのみこと)、或いは大国主命(おおくにぬしのみこと。大黒様と同一視されるが、大黒様は何故かインドのマハーカーラ神だそうです)の子である事代主命(ことしろぬしのみこと)であると云われています。この事代主命の生まれた日が1月10日であることから、この日を「十日えびす」としてお祝いするとも聞いたことがありますが、ただ事代主命の誕生日が1月10日であると云う根拠(記録資料等)は見たことがありません。<追記>福岡にある十日恵比須神社の武内文書「十日恵比須神社記録写」には「香椎から箱崎に参拝途中の潮先で、恵比須二対を拾い上げて、持ち帰って奉斎した」「毎年正月十日恵比須ととなえて、自身でお供えして拾い上げた所で御神酒を捧げた。これが知られて次第に参拝する人が多くなって繁昌した」という意味のことが書かれています。色々調べましたが、初えびすの日を特定するものは皆無に近く、上記に紹介した説くらいしかないので、十日説で納得せざるを得ないのかなと思いました。
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河原・恵美須神社の本殿は、鎌倉時代後期の建築物で、珍しい高床式です。
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神社に残る蛭子明神記録によれば、寛元2年(1244)の棟札が発見されていますが、それ以前から神社が存在していたかどうかは不明とのことです。
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本殿にお参りして、拝殿で福笹を求めると、福昆布と福引券が貰えます。その場で福昆布を食べ、福引が当たれば、景品も持って帰れます。景気づけに大音量で歌謡曲などを終日流されていますので、初えびすを忘れかけていた地元の人も、次々に駆け付けて参拝されていました。