今回の信州・山歩きで写真に撮った植物は、入笠山で40種ほど、池山で30種ほどですが、両山共に見られたもの(重複)も10種ほどありましたので、品種的には60種ほどの植物を撮影しました。全てを取り上げることは出来ませんので、独断と偏見でピックアップしてみました。最初はその中でも超希少種の、ラン科アツモリソウ属の花・3種を取り上げました。
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入笠山での必見No.1の花が、この カマナシホテイアツモリソウ(釜無布袋敦盛草)です。この花を見たいがために、私も梅雨時の入笠山に行きました。ラン科アツモリソウ属の多年草。アツモリソウは、本州中部から北海道までの寒冷地を好み、北へ行くほど低山でも見られるようになります。
栽培目的で乱獲されることが多いラン科の植物の中でも、最も激しく乱獲、盗掘される花です。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年6月5日法律第75号)」にもとづき、アツモリソウは平成9年(1997)に「特定国内希少野生動植物種」に指定されました。環境大臣の許可を受けた場合などの例外を除き、採集等は原則禁止で、違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
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ホテイアツモリソウは、アツモリソウの基準変異で、その違いは、アツモリソウの花は7cmほどに対し、ホテイアツモリソウの花は10cm以上あり、花色も濃いです。またホテイアツモリソウの方が、アツモリソウよりも高地に生息します。微妙な差のようですが、ホテイアツモリソウの方が希少度も高くて、環境省のレッド・データでも、アツモリソウは絶滅危惧Ⅱ類(VU)ですが、ホテイアツモリソウは絶滅危惧ⅠA類(CR)となっています。
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入笠山で見られるホテイアツモリソウは、「カマナシ」ホテイアツモリソウと呼ばれます。ホテイアツモリソウよりも更に色が濃くて、かつて富士見町の釜無山(2116m)と入笠山(1955m)でのみ見られた固有種でしたので、「釜無」ホテイアツモリソウと呼ばれましたが、乱獲により釜無山では絶滅してしまいました。
入笠山の自生地では、保護を始める以前は4株しか確認できず、自然結実は不可能とみられていた。2006年に再生会議を立ち上げ、絶滅寸前から保護活動を始めて12年目を迎え、今年の花数は、昨年よりほぼ倍増して55個になりました(この項:6/17付け長野日報WEBより)。
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富士見町アツモリソウ再生会議では、自生に近い状態で見られるようにと、入笠山の山野草エリアに「ホテイアツモリソウ植栽実験室」を設営しておられます。
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花は赤紫色で、開花すると袋状になり、濃赤色のスジが見られます。
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入笠山に来たカイがありました。途絶えることなく末永く私たちを楽しませてくれることを祈らずにはおられません。
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キバナノアツモリソウ(黄花の敦盛草)。ラン科アツモリソウ属の多年草。これも、環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。アツモリソウと同様に、中部地方以北から北海道に分布し、寒冷地を好みます。7月頃に約3cmほどの淡黄緑色で紫褐色の斑紋のある花を1個開きます。
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茎の高さ10-20cm、2枚の葉がやや対生状に付いています。
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クマガイソウ(熊谷草)。ラン科アツモリソウ属の多年草。アツモリソウほど寒冷地志向でもなく、全国の森林、特に竹林や杉林などに生息します。やはり、環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されていて、全国45都道府県でもRDBに登録されています。
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大きな扇型の二枚の葉の中心から袋状の花を付けます。アツモリソウは平家の平敦盛が背負っていた母衣(ほろ)にちなんで名付けられましたが、クマガイソウは源氏の熊谷直実の母衣に見立てて名付けられました。言うまでもなく、源平合戦の一の谷の戦いにおいての、平敦盛と熊谷直実の一騎打ちにちなんでの命名で、平家は赤旗なので赤花のアツモリソウ、源氏は白旗なので白花のクマガイソウとなったのでしょう。