気の向くままに出かけた散策での、レポート第2弾はヤマユリ(山百合)です。ユリ科ユリ属の多年草。山に生えるから山ユリです。分布状況は定かではありませんが、関東など東日本が分布の中心で、西限は近畿地方とも云われています。但し、北海道や九州や四国などの一部でも見たと云う情報もあるようです。近畿での自生地は関東ほど多くはありません。近畿地方のRDB状況‥京都府:既に絶滅、三重県:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県:準絶滅危惧種、滋賀県:要注目種、大阪府:情報不足、と全国の自生地の中でも、近畿は甲信越と並んで最も厳しい状況に置かれています。近畿では7月後半あたりが花のピークなので、これに合わせて自生地を5ヶ所ほど訪れると、どこでもヤマユリたちは美しい姿で出迎えてくれました。
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開花時期は7-8月、草丈は1.0-1.5m、花の大きさは直径20cm以上と、ユリ科の中でも最大級で、ユリの王様とも云われます。花弁は白色で、花弁の内側中央には黄色の太い筋と、周囲には赤褐色の斑点が入ります。
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山の矩面に生えているものは、大きな花の重さで、大概は茎ごと頭を垂れています。
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ヤマユリは大変強い芳香を持っていて、嗅覚の鈍い私でも、20mほど離れていても良い香りが楽しめます。
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世界に約100種あると云われるユリの原種のうち、日本で見られるのは15種。そのうち、ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ、スカシユリなど7種が日本特産種です。日本のユリは花も大きくて香りもよく、19世紀にはヨーロッパで絶賛されて、品種改良が進み、今やカサブランカをはじめ、オリエンタル・ハイブリッド種の原種として、世界のユリの頂点に立っています。
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文久2年(1862)に、ジョン・ベイナがヨーロッパに持ち帰り、ロンドンのフラワーショーに出品したヤマユリは絶賛され、1873年のオーストリア万国博では商談が進み、翌々年から球根の輸出が始まります。大きな産業もなかった明治期の農村部では、関東の丹沢山地や中部地方を中心にして、ヤマユリの球根が掘り出されてヨーロッパに売られていきましたが、その数は、なんと2000万球とも云われています。そのため山野に幾らでもあったヤマユリがすっかり減ってしまったそうです。よくもまぁ絶滅しなかったことです。
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山の樹影や草陰に身を潜めるヤマユリや‥
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切り立った断崖の上から、下を見下ろすヤマユリたち。
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オニユリやスカシユリは庭でも簡単に育ちますが、ヤマユリやササユリは生息環境の維持が難しくて、
自生地との環境の僅かな違いが原因で、庭に植えても上手く育たないと云われています。
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今回のヤマユリ散策で一番豪華だった花たちです。ヤマユリは年を経るほどに沢山の花を咲かせるようになります。
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同じく今回のヤマユリ散策で唯一見られた、ベニスジヤマユリ(紅筋山百合)です。花びらに鮮やかな紅色の筋が大きく入ります。とても艶(あで)やかな感じがするヤマユリです。数年前に金剛山で出会ったヤマユリの中にも、このベニスジヤマユリが混じっていたのを思い出しました。