晩夏から初秋に見られた樹木の花や実です。
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ホツツジ(穂躑躅)。ツツジ科ホツツジ属の落葉樹。全国の山地の岩場などに自生します。高さは1-2mほどの低木で、開花は7-9月頃で、枝先に円錐状の花序を出します。花柱は花の外にまっすぐに長く突き出ます。
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近畿地方のRDB状況‥和歌山県:絶滅危惧Ⅱ類、奈良県:準絶滅危惧種。当地でも見られる場所は限られています。
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ヌルデ(白膠木)。ウルシ科ヌルデ属の落葉樹。雌雄異株で、8-9月頃に開花しますが、まだ花序を伸ばしたばかりで、雄花か雌花かは分かりませんでした。葉は奇数羽状複葉で、葉軸に翼があるのが特徴です。
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ヌルデの虫こぶ。何故かヌルデには虫こぶが多いです。デコボコした虫こぶは「ヌルデミミフシ」と云い、虫こぶの中にはヌルデシロアブラムの黒い幼虫がいっぱい居ます。日本ではこれを「五倍子(ごばいし、ふし)」と呼び、江戸時代の女性の「お葉黒」の原料として用いられました。
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サネカズラ(実葛)。マツブサ科サネカズラ属のツル性常緑樹。関東以西の森林に自生します。雌雄異株で、花期は8月頃、直径1cmほどの小さな淡黄色の花を咲かせます。花被片の内側には、オシベ、またはメシベが多数らせん状に集まっています。写真の真っ赤なシベは雄花で、雌花のシベは緑色です。シベの色だけで云いますと、雌雄逆のようです。
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緑色の小さな果実が出来始めていました。熟すと真っ赤な色になります。別名のビナンカズラ(美男葛)は、この木から採れる粘液を、昔は整髪料として用いたことに由来します。
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アオツヅラフジ(青葛藤)。ツヅラフジ科アオツヅラフジ属のツル性落葉樹。全国の山地などに自生します。雌雄異株で、7-8月頃に淡黄色ないし黄白色の小さな目立たない花を多数つけます。これは雌花で6個の柱頭があります。
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アオツヅラフジの実。若い果実は緑色をしていますが、熟してくると青紫色になります。一花から6個の果実が付きます。
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カクレミノ(隠蓑)の木に、沢山の花が付いていました。ウコギ科カクレミノ属の常緑樹。東北南部以南に自生します。7-8月頃に枝先に花枝を伸ばし、球状に集まった散形の花序を形成します。
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花弁は淡緑色で通常は5枚。両性花と雄花が混じって咲きます。果実は晩秋に黒紫色に熟します。
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ノリウツギ(糊空木)。アジサイ科アジサイ属の落葉樹。花期は7-9月、枝の先に白色の小さな両性花が円錐状に多数つき、その中に4-5枚の花弁をもつ装飾花が混ざります。
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フユイチゴ(冬苺)の花が咲いています。バラ科キイチゴ属の常緑低木。花期は9-10月で小さな白い花を咲かせます。果実は11-1月頃に真っ赤に熟します。キイチゴですから美味しいです。
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ナツハゼ(夏櫨)の果実。ツツジ科スノキ属の落葉樹。黒く熟すと食べごろになります。
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ナツメ(棗)の果実。クロウメモドキ科ナツメ属の落葉樹。原産地は中国から西アジアだそうですが、日本には遠い昔、奈良時代以前に渡来していたそうですから、ミカンなどと同じで、在来種と言ってもよいでしょう。乾燥させた干しナツメが有名ですが、生で食べると、リンゴのような食感があり、甘みと酸味があって、個人的には好きです。
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ムクロジ(無患子)の果実。ムクロジ科ムクロジ属の落葉樹。樹高は15mくらいにもなる高木で、見上げるようにしてズームで撮った写真です。果皮にはサポニンが含まれており、水につけると泡立ちますので、昔から石鹸代わり用いられました。黒くて大きい種子は羽根突きの玉にも用いられました。
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ノブドウ(野葡萄)の実。ブドウ科ノブドウ属のツル性落葉樹。全国に分布します。果実は熟すと、青色や赤色や紫色などに色づき、とてもカラフルです。果実は毒ではありませんが、「渋くて苦くて」とても食べられたものではないそうです。