秋の湿原で咲く山野草たちです。
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ウメバチソウ(
梅鉢草)。ニシキギ科ウメバチソウ属の多年草。全国の日当たりの良い湿った場所や湿原に生息します。花期は9-10月で、背丈は10-40cmほど、花茎には葉が1枚と、茎先に白い花を1つ付けます。
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湿原に群生するウメバチソウ。写真右下には花びらが落ちた果実姿が見られます。全国21都府県でRDBに指定されています。近畿地方のRDB状況‥京都府・大阪府・和歌山県:絶滅危惧Ⅱ類、奈良県・滋賀県:準絶滅危惧種。
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咲き始めたばかりのウメバチソウ。花の中央のオシベは、まだ真ん中で仲良く固まったままです。
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オシベは1日に1本だけ立ち上がって花粉を出します。オシベの周辺には細く分裂した糸状の仮オシベがありますが、仮オシベは花粉は出しません。花弁の基部の緑色のところが蜜腺です。
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他の草に負けないよう、真っ直ぐ立ち上がって太陽を浴びています。
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オシベは全開し、中央にある丸いメシベは、子房が膨らみ果実になろうとしています。
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ウメバチソウとスイランとのツーショット。どちらも湿原の植物仲間です。
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スイラン(水蘭)。キク科スイラン属の多年草。日本では中部・東海地方から九州にかけて分布する湿原植物です。9-10月に長さ50-80cmほどの花茎を伸ばし、その先端に黄色い頭花を付けます。葉は15-40cmほどの細長いススキのような葉を付けます。10月末頃には葉は殆ど枯れてしまい、茎の上に花だけの状態になっていることも多いです。スイランは漢字で書くと「水蘭」ですが、花はキクの形で、とてもランとは言い難く、かと云って、キク科とは全く違った細長い葉を付ける不思議な植物です。湿原で生息していくため、スゲやイネ科の草本たちとの競合・共存に適合した形状をとっているのでしょう。
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スイランは自生地の多く(14府県)でRDBに指定されています。近畿地区でのRDB状況:京都府・絶滅危惧Ⅱ類、大阪府・奈良県・滋賀県:準絶滅危惧種。
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キセルアザミ(煙管薊)。キク科アザミ属の多年草で日本固有種。本州・四国・九州の湿り気のある場所や湿原に生息します。花期は8-10月で、大きな頭花は横向き、ないしは下向きに咲きます。
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ツマグロヒョウモン と キセルアザミ。
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湿原で群生するキセルアザミたち。全国10都県でRDBに指定。近畿地方でのRDBの指定はありません。
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キセルアザミは花が咲き終わると、直立し(上に向き)、そのまま穂状になります。
別名はマアザミ(真薊)で、若い葉を食用にすることから真のアザミだそうです。