植物園の入口で、早春の花以外に何か見ものはないかと、掲示板を見たら、こんなポスターが貼られていました。
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「サルの顔に見えるランが開花中」とのことです。オオ~ッ!確かにおサルさんの顔ですね。これは見ておかなくては、ということで観覧温室へ行ってみました。日本最大級のこの観覧温室で見られた多種多様な熱帯植物の中から、例によって独断と偏見で、「面白そうな」植物を取り上げてみました。
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サル顔のラン(蘭)は、4-5種類ほど展示されていたのですが、もう皆、咲き終わっていて、咲いていたのは、この ドラクラ・ギガス の1輪だけでした。なんでもラン科ドラクラ属は、世界中に100種類くらいあって、みんなサル顔だそうです。そのため 俗称はモンキー・オーキッド
(猿顔の蘭) と呼ばれています。京都府立植物園はモンキー・オーキッドが見られる所として有名で、全国から見学者があるそうです。
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天井からぶら下がっている鉢の下方から、小さな花を狙って撮ったのですが、手振れでピン甘写真でした。
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(左)モンキー・オーキッドの1種、ドラクラ・モプスス です。花は終わっていて、掲示されていた写真です。(右)蘭ではありませんが、こちらの植物も何かの顔に似ていませんか?
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私は見た瞬間に、スターウォーズの「ダース・ベイダー」を思い浮かべました。正式名は アリストロキア・サルバトレンシス。ウマノスズクサ科の中米原産の植物です。
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常緑小低木で、花茎は地面に沿って伸び、濃い赤褐色の顔状の花を咲かせます。
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フラグミペディウム・スクリミィ・ウィルコックス。北半球のアツモリソウの仲間、熱帯アジアのパフィオペディルムの仲間 、中米〜南米あたりのフラグミペディウムの仲間の花たちは、どれも食虫植物を思わせる袋状の花を咲かせます。私もこの花を見たときは、日本のホテイアツモリソウを思い出しました。ラン科の花は、どれも人を惹きつける不思議な魅力がありますね。
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ウェルウィッチア。アフリカ南部ナミブ砂漠原産のウェルウィッチア科の裸子植物。1科1種だけの植物で、葉は1対のみで、終生 葉は伸び続けて昆布状になると云う特異な生態を持っています。
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葉が長く伸びてくると、木部の捻れや風などの外的要因によって擦り切れて裂け始め、一見何枚もあるように見えます。茎の中央部の窪みから花序を出します。特筆すべきはこの植物の 寿命の長さ で、一般的には1000年とも云われています。自生地のアフリカでは推定樹齢2000年の個体もあるそうです。京都府立植物園の本種は、昭和48年(1973)に種子から育てあげたもので、日本国内最大株です。平成16年(2004)に温室から2株が盗まれると云う嘆かわしい出来事もありました。和名は サバクオモト(砂漠万年青)とか キソウテンガイ(奇想天外)と呼ばれます。
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奇想天外な植物は、ここにもありました。サイコトリア・ペピギアナ。中南米の熱帯雨林に自生する木本で、開花時期が近づくと、苞が緑色から真紅に変化していきます。
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ドヒャ~ッ! なんと艶(なまめ)かしい!人の唇を連想させる外観となりました。別名は ホット・リップス(熱い唇)。花(蕾)は苞の中にあり、開花が始まると中央の部分から白や黄色の花が現れます。ハチドリなどの花粉媒介者を引き寄せるために、この形状に変化したそうです。
いやはや、世界には色々な植物があります。難しいことは抜きにして楽しめました。