地元の加茂船屋で「第13回・雛まつり」が行われました。この行事と同時に毎年「加茂の鉄道展」がささやかに行われていますので、これを見に行きました。
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今年は雛祭りにちなんで、初めて「HOゲージ鉄道車両による雛段」が飾られていました。大仏鉄道は今年で120年目に当たります。名古屋から関西方面に路線延長を進めてきた 関西(かんせい)鉄道 は明治30年(1897)に加茂駅まで進出(加茂駅開業)。翌明治31年(1898)4月には、加茂駅から大仏駅まで(関西鉄道・大仏線、いわゆる大仏鉄道)が開業、更に11月には加茂駅・新木津駅間も開通し、晴れて名古屋から大阪・綱島駅(現在の片町駅近く)までの全路線が直結し、急行列車が走り出しました。明治32年(1899)には大仏線は奈良駅まで延長され、明治33年(1900)名古屋から加茂・奈良を経由して大阪・天王寺駅に至る、現在の関西本線も全通となりました。しかし明治40年(1907)8月、加茂から奈良へは木津経由の新路線が開通して大仏線は廃止となり、僅か10年の短い命を終えました。しかも追い討ちをかけるように、10月には鉄道国有法により関西鉄道が国有化されてしまい、各地の民営鉄道と共に姿を消してしまいました。
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最上段の「お内裏様」は、後年、国鉄時代に関西本線で活躍した、貴婦人の愛称があるC57型(パシフィック型)蒸気機関車と、デコイチの愛称があるD51型(ミカド型)蒸気機関車でした。ちなみにパシフィック型とかミカド型というのは、機関車の車軸配置(先輪+動輪+従輪)の外国式通称です。パシフィック型は国鉄の呼び方では「2C1=先輪4+動輪6+従輪2」の車輪構造を持つ蒸気機関車をさし、ミカド型は国鉄式には「1D1=先輪2+動輪8+従輪2」の車輪構造の蒸気機関車です。二段目の「三人官女」には、左からDD51型、DF50型、DE10型 の非電化区間で活躍したディーゼル機関車たちが並んでいました。
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(左)展示されていた明治32年関西鉄道発行の汽車時刻表の写真と、(右)私の所持本、明治32年発行の全国の鉄道と汽船の時刻表「汽車・汽船 旅行案内(復刻版)」です。
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明治33年版の全国鉄道時刻表「汽車・汽船 旅行案内」に掲載された関西鉄道の路線図(広告)です。
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展示されていた、関西鉄道乗車賃割引票の写真です。これは今回初めて目にした資料です。
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展示されていた、国有化されたあとの旧関西鉄道の蒸気機関車たちの写真です。ちなみに(左2枚)国鉄7850型蒸気機関車は、関西鉄道時代には ”電光(いなずま)” と呼ばれたイギリス製の名蒸気機関車で、車軸配置は1C型(2-6-0)です。(右2枚)国鉄6000型蒸気機関車は、関西鉄道時代には ”追風(おいかぜ)” と呼ばれたアメリカ製の2B型(4-4-0)蒸気機関車です。
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こちらは私の所持本、昭和32年(1962)発行「鉄道ファン2月号」の関西鉄道特集ページにのっている”電光(いなずな)” 号です。
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展示されていた明治期の蒸気機関車の特製大形模型です。形式が明記されておらず詳細は不明ですが、関西鉄道の蒸気機関車であったとすれば、車軸配置が2B型(4-4-0)なので、”飛龍(ひりょう)” か、”早風(はやかぜ)” と呼ばれた機関車ではないかと思われます。 4月には大仏鉄道開業120周年記念「大仏鉄道フェスタ」も行われる予定となっていますので、何か目新しい資料でも出てくるのではと期待しています。