金剛山で出会った山野草たち、その2です。
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シギンカラマツ(紫銀唐松)。キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草。花期は8-9月で、関東以西(主に西日本)の山地の薄暗い場所に生えます。金剛山には何度も登っていますが、この花には初めて出会いました。株数も僅かで、まだ咲き始めたばかりで殆どが蕾状態でした。花が開いていなければ見落とすところでした。
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シギンカラマツは、草丈は30-70cm程で茎は細くて弱々しいです。花序は複散房状で、花は直径約1cm白色、花弁はなくメシベと多数のオシベだけの集合花です。萼は4個ですが花期には脱落します。全国13都府県でRDBに指定されています。近畿地方でのRDB状況‥京都府・大阪府:絶滅危惧Ⅰ類、兵庫県:絶滅危惧Ⅱ類、奈良県・三重県:準絶滅危惧種、滋賀県:分布上重要種。余談ながら、よく似た名前の花に シキンカラマツ(紫錦唐松)があります。シキンカラマツは花が咲いても紅紫色の萼片が残っていて(萼片が残るのはカラマツソウの仲間では本種だけで)ピンクの花のように見えるのが大きな特徴です。
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クサアジサイ(草紫陽花)。アジサイ科クサアジサイ属の多年草。本州、四国、九州の山地の木陰や湿った林床に生える、日本固有種です。アジサイのような花が咲く草本であるのが名前の世来です。アジサイの花が終わったあとの7-9月が花期で、夏の薄暗い林内で咲いています。今回私たちが登ったルートでは往路・復路ともにクサアジサイがよく見られました。
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クサアジサイの葉は互生、長楕円形~広披針形、両面に毛があり、葉先は尖り、鋭い鋸歯があります。
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ダイコンソウ(大根草)。バラ科ダイコンソウ属の多年草。全国の丘陵地、山地の林床、谷川のそばなどに生えます。花期は7-8月。まばらに分枝した茎先に径約15mmになる黄色の花を付けます。花は5弁花ですが、オシベとメシベが多数ある集合花です。
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(左:花と葉)茎の葉は、葉柄を含めて長さ約11cmで、多くは3裂葉となります。(右:実)集合果は径15mmになる球形で、痩果は紡錘形となり、先がS字状に曲がっています。
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アカショウマ(赤升麻)。ユキノシタ科チダケサシ属の多年草。東北以南の落葉広葉樹の林縁等に生育します。
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エビガライチゴ(海老殻苺)。バラ科キイチゴ属のツル性落葉樹。全国の山地の林縁など日当たりの良い場所に生えます。茎には紫色の長い毛が一面に生えていて、顎の外側にはやはり紫色の毛が生えます。果実は集合果で、赤く熟すと食べられます。
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キンミズヒキ(金水引)。バラ科キンミズヒキ属の多年草。全国の低山や原野にふつうに見られます。
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ヒカゲミツバ(日蔭三つ葉)。セリ科カノツメソウ属の多年草。全国の山林の日蔭に生息します。花期は8-10月で、茎の上部で分枝し、先端に白い散形花序をつけます。花序の花数は少なく10個くらいです。
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背丈は30-80cmくらいで、茎は細くやや硬い。根生葉には長い柄があり、茎葉には短い柄があり、いずれも2回3出複葉です。ヒカゲミツバの近畿地方のRDB状況‥京都府:準絶滅危惧種。*ヒカゲミツバとカノツメソウ(鹿の爪草)は大変よく似ており、迷ったのですが、歩いたコースの環境等から前者としました。
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モミジガサ(紅葉傘)。キク科コウモリソウ属の多年草。全国の山地の湿り気のある林床に生えます。花期は8-9月で、茎の先に円錐花序状に白色の頭花をつけますが、まだ開花せず蕾状態ばかりでした。
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茎の高さは60-90cmほど。葉は長い葉柄をもっていて、茎に互生し、掌状(モミジ状)に切れ込むのが、名前の由来となっています。次回へ続く。