久しぶりに、滋賀県の最北部、福井県と隣接する野坂山地の山麓での自然の中で4日間を過ごして来ました。山門(やまかど)水源の森に行ったり、赤坂山に登ったり、マキノ高原を散策したりと、たっぷりと時間の許す限り心身を癒して来ました。今回は、赤坂山から寒風へと登山に出かけた際に出会った山野草たち、その1です。
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オオバキスミレ(大葉黄菫)。スミレ科スミレ属の多年草。日本海側の日当たりの良い山の草原(赤坂山では山頂周辺から見晴らしの良い尾根筋一帯)に生えます。野坂山地が日本での分布のほぼ西限と云われています。
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キスミレに似ていますが、葉がはるかに大きいのが名前の由来です。
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ザレ場の窪みやススキなどの枯れ草の隙間から、目にも鮮やかな黄色い花を咲かせています。
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花期は4月中旬-7月。直径1.5cm程の黄色の花弁に紫色の線が入っています。オオバキスミレのRDB状況‥京都府:絶滅危惧Ⅰ類、滋賀県:分布上重要種。
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シハイスミレ(紫背菫)。スミレ科スミレ属の多年草。この山地には、シハイスミレとシハイスミレの変種・マキノスミレ(牧野博士の名前を付した牧野菫)の両方が生息しており、見分けが非常に難しいのですが、一般的に西日本にシハイスミレ、東日本にマキノスミレが多いと云うことから、多数派のシハイスミレとしておきます。
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葉には光沢があり、葉の裏が赤紫色をしているのが名前の由来です(マキノスミレも同じく葉裏は赤紫色です)。
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マキノスミレはシハイスミレに比して、葉の幅が狭く、細長くて長披針形で、葉を立ち上げるそうです。一般的なスミレさえ見分けが殆ど出来ない私には、同属の変種などを見分けるのは至難の技です。
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寒風の山頂から尾根筋は、まだ カタクリ(片栗)が沢山咲いていました。ユリ科カタクリ属の多年草。
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全国の山地の林内に主として生息しますが、日当たりの良い山の尾根筋や草原にも生えます。日本海の冷たい強風を遮るものもない、このような過酷な場所に咲くのが痛ましくもあり可愛くもあります。
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狭い登山道にも沢山のカタクリが生えていて、踏まれているものあり、尾根筋での生存の厳しさが分かります。
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寒風からの下山道は、もうカタクリも殆どが咲き終わり、三角形の(3室からなる)果実が出来ていました。
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山麓の登山道あたりでよく見られた ヒメハギ(姫萩)。ヒメハギ科ヒメハギ属の常緑多年草。茎は硬く、斜上して高さが10-30cmにもなるので、あたかも小低木のような感じもしますが、草本です。
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花期は4-7月。茎の途中に、長さ1-3cmの総状花序を出し、2-3個の紫色の花が咲きます。左右相称、紫色の萼片2枚が横に張り出します。花は筒状で、先端は細裂して白い房状となり、独特の花姿となります。
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ヒメハギは何故か土砂が崩れた山の側面や、木道などの脇などによく生えています。思わず踏みつけてしまいそうになりますが、他の植物に邪魔されることなく太陽の日射しを一杯受けるための戦略なんでしょう。