近畿各地の山歩きで出会った樹木たち。その1は、ツツジ科とニシキギ科の樹木の花たちです。
★ツツジ科の花たち
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サラサドウダン(更紗灯台、更紗満天星)。ツツジ科サラサドウダンツツジ属の落葉樹で日本固有種です。北海道から四国にかけて、深山の岩地に生息します。花期は5-6月。枝先に長さ2-3cmの総状花序をつけ、10個ほどの花が花柄の先端に下向きに咲きます。花は吊鐘形で先端は浅く5裂し、花冠の色は、先端が淡紅色になり基部は黄白色で紅色の縦条が入ります。
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樹高は2-5mほど。葉は互生ですが枝先に集まるので輪生状になります。赤坂山を代表する花で、マキノ高原のキャラクター「さらさちゃん」のモデルにもなっています。近畿地方のRDB状況‥兵庫県:絶滅危惧Ⅱ類、京都府:準絶滅危惧種。
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ドウダンツツジ(灯台躑躅、満天星)。ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉樹。四国が原産のようですが、本州以南の温暖な岩山に生えます。しかし自生地は少なく、栽培種以外は殆ど見ることはありません。
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花は白色の壷形です。低木なので、大きくても3m程ですが、この栽培種はとても大きくて立派でした。
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ヤマツツジ(山躑躅)。ツツジ科ツツジ属の半落葉低木。全国広範囲に低山地などに分布する、日本の野生ツツジの代表的存在です。地域毎の異なる気候に適応して、寒冷地では落葉性、暖地では常緑性の性質を持っています。
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花期は4-6月で、花色は朱色。まれに紅紫色や白色があり、花は直径3-4cmの漏斗形で5中裂します。花冠の上側内面に濃色の斑点があり、内面には短毛が散生しています。オシベは5本、花柱は長さ3-4cmほどです。
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モチツツジ(黐躑躅)。ツツジ科ツツジ属の半落葉低木。伊豆半島以西の本州及び四国に分布する日本固有種です。花期は4-5月で1つの花芽からピンクの花を数輪咲かせます。虫の攻撃から身を守るため、花の付け根の萼片、葉や茎などからネバネバした粘液を出していて、時々小さな虫たちが捕らえられているのが見られます。
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花の直径は5cmほど、花びらの上部に濃い赤色の模様があり、メシベは1本、オシベは5本です。モチツツジは、ヒラドツツジなど多くの園芸ツツジ品種の母種となっています。
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ユキグニミツバツツジ(雪国三葉躑躅)。ツツジ科ツツジ属の落葉低木。秋田県から鳥取県までの日本海側の多雪地帯に分布します。上木(=周囲の高い樹木のこと)の葉が出揃った4-5月頃に、葉を展開する直前あるいは葉の展開と同時に紅紫色の花を咲かせます。
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花は枝先に1個だけ付け、直径3-4cmの漏斗形で、花弁は深く5裂しています。花弁上部には濃紅色の斑点があります。このユキグニミツバツツジは赤坂山で見たものです。近畿地方のRDB状況‥兵庫県:準絶滅危惧種。
★ニシキギ科の花たち
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ニシキギ(錦木)。ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木。全国の山地に生え、花は淡い緑色で、花弁は4枚です。
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マユミ(檀、真弓)。ニシキギ科ニシキギ属の落葉樹。全国の山地に生え、花は淡い緑色で、花弁は4枚です。
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コマユミ(小檀、小真弓)。ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木。全国の山地に生え、花は淡い緑色で、花弁は4枚です。
エエ~ッ?ニシキギ科ニシキギ属の樹木の花は、どれも同じで分かりません!三者の見分けは、花ではなく、まずニシキギは、枝に顕著な翼が付いていますのでマユミ類と違うのは一目瞭然です。残るマユミとコマユミの見分けは、成木の場合は背丈が違います。マユミの樹高は3-5mほどになりますが、コマユミの樹高は1-3mと低いので、背丈の大きさで見分けられます。また秋に実が赤熟して、果皮が裂開し、中にある赤い仮種皮に包まれた種子が見えるようになります。果皮が2裂するのがニシキギとコマユミで、マユミは4裂しますので見分けられます。