かつては当地でも普通に見られた季節の花たちも、時代の推移と共に見ることが叶わなくなってきました。ひっそりと何処かで咲いていることを期待して、山野草たちを探し歩いてみました。
ササユリ(笹百合)。ユリ科ユリ属の多年草で日本特産種。本州の中部地方以西に生息します。中部地方及び関東地方以北には、よく似た オトメユリ(乙女百合=別名:ヒメサユリ・姫小百合)が生息します。花はササユリの方が一回り大きく、花被片の先が反転するのが特徴です。またササユリの葯(しゃく)は赤褐色ですが、オトメユリの葯はオレンジ色です。
ササユリ(笹百合)。ユリ科ユリ属の多年草で日本特産種。本州の中部地方以西に生息します。中部地方及び関東地方以北には、よく似た オトメユリ(乙女百合=別名:ヒメサユリ・姫小百合)が生息します。花はササユリの方が一回り大きく、花被片の先が反転するのが特徴です。またササユリの葯(しゃく)は赤褐色ですが、オトメユリの葯はオレンジ色です。
この日は3ヶ所で4株の開花を確認出来ましたが、横を向いていたり、笹薮に隠れていたりしていました。
ヤマトテンナンショウ(大和天南星)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。奈良県を中心に京都府や三重県ならびに中部地方に生息する日本固有種です。葉軸は発達し、葉は2個で小葉は7-17枚ほど。仏炎苞は葉よりも高い位置に付き、筒部は緑紫色をおびた白色、口辺は狭く開出し、舷部は濃紫色でやや下向きに長く伸びます。舷部内面は脈が隆起しています。付属体は細い円柱状で黒紫褐色、上部は前に曲がります。
テンナンショウの仲間としては遅咲きタイプで、花期は6月頃です。京都府では、2012年に少数の個体が自生しているのが初めて確認され、2015年に 京都府レッドデータブック(RDB)の最上位カテゴリ「絶滅寸前種(=全国統一カテゴリでは絶滅危惧Ⅰ類)」として新たに登録されました。
オカタツナミソウ(丘立浪草)。シソ科タツナミソウ属の多年草で日本固有種。関東以西の山地や丘陵地の木陰に生えます。
花序は上下に伸びず、花はほぼ同じ高さに集まって付きます。葉は広卵形で縁には粗い鋸歯があります。
ナワシロイチゴ(苗代苺)。バラ科キイチゴ属の雑草的低木。キイチゴの中では開花は遅い方で、5-6月頃です。花は赤っぽい紫色で、萼片は平開しますが、花弁は殆ど閉じた状態で、先端が僅かに開き、メシベの柱頭が頭を出しています。
受粉が終わると花弁は脱落し、萼片が再び閉じてきて、実が成熟していきます。
ツルアリドオシ(蔓蟻通し)。アカネ科ツルアリドオシ属のツル性常緑多年草。全国の山地のやや湿った林縁などに生えます。花期は6月頃で、枝先に長さ5mmほどの花茎を出し、その先に花をつけます。花は白色で必ず2個付き、2つの花の基部にある子房は互いに合着しています(つまり、花は2つですが出来る実は1つです)。
ユキノシタ(雪の下)。ユキノシタ科ユキノシタ属の常緑多年草。本州以南の湿った半日陰地の岩場などに自生します。花は5弁で、上の3枚は小さくて濃紅色の斑点があり、下の2枚の花弁は白色で細長く大きいです。花の中心部には濃黄色の斑点があります。
シライトソウ(白糸草)。シュロソウ科シライトソウ属の多年草。秋田県以西の山地の湿った崖や斜面に生えます。5-6月頃に、花茎を伸ばし、先端に長さ10-15cmの総状花序(花穂)をつけます。個々の花は4個の花弁からなり、長さ7-12mmの細長い糸状で、先端がやや広がっています。
この花も、ご他聞に漏れず殆ど見られなくなってきました。京都府のRDB状況は‥準絶滅危惧種となっています。
ヤマトテンナンショウ(大和天南星)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。奈良県を中心に京都府や三重県ならびに中部地方に生息する日本固有種です。葉軸は発達し、葉は2個で小葉は7-17枚ほど。仏炎苞は葉よりも高い位置に付き、筒部は緑紫色をおびた白色、口辺は狭く開出し、舷部は濃紫色でやや下向きに長く伸びます。舷部内面は脈が隆起しています。付属体は細い円柱状で黒紫褐色、上部は前に曲がります。
テンナンショウの仲間としては遅咲きタイプで、花期は6月頃です。京都府では、2012年に少数の個体が自生しているのが初めて確認され、2015年に 京都府レッドデータブック(RDB)の最上位カテゴリ「絶滅寸前種(=全国統一カテゴリでは絶滅危惧Ⅰ類)」として新たに登録されました。
オカタツナミソウ(丘立浪草)。シソ科タツナミソウ属の多年草で日本固有種。関東以西の山地や丘陵地の木陰に生えます。
花序は上下に伸びず、花はほぼ同じ高さに集まって付きます。葉は広卵形で縁には粗い鋸歯があります。
ナワシロイチゴ(苗代苺)。バラ科キイチゴ属の雑草的低木。キイチゴの中では開花は遅い方で、5-6月頃です。花は赤っぽい紫色で、萼片は平開しますが、花弁は殆ど閉じた状態で、先端が僅かに開き、メシベの柱頭が頭を出しています。
受粉が終わると花弁は脱落し、萼片が再び閉じてきて、実が成熟していきます。
ツルアリドオシ(蔓蟻通し)。アカネ科ツルアリドオシ属のツル性常緑多年草。全国の山地のやや湿った林縁などに生えます。花期は6月頃で、枝先に長さ5mmほどの花茎を出し、その先に花をつけます。花は白色で必ず2個付き、2つの花の基部にある子房は互いに合着しています(つまり、花は2つですが出来る実は1つです)。
ユキノシタ(雪の下)。ユキノシタ科ユキノシタ属の常緑多年草。本州以南の湿った半日陰地の岩場などに自生します。花は5弁で、上の3枚は小さくて濃紅色の斑点があり、下の2枚の花弁は白色で細長く大きいです。花の中心部には濃黄色の斑点があります。
シライトソウ(白糸草)。シュロソウ科シライトソウ属の多年草。秋田県以西の山地の湿った崖や斜面に生えます。5-6月頃に、花茎を伸ばし、先端に長さ10-15cmの総状花序(花穂)をつけます。個々の花は4個の花弁からなり、長さ7-12mmの細長い糸状で、先端がやや広がっています。
この花も、ご他聞に漏れず殆ど見られなくなってきました。京都府のRDB状況は‥準絶滅危惧種となっています。
コメント
コメント一覧 (8)
自然を共有できない人が多いのには困ったものです。
足がないので諦め気味です。
先日火野正平の「心旅」でヒメサユリの小径を紹介しているのを
羨ましく見ていました。
いつ見てもきれいですね。
甘い香りに誘われて野山に出かけたくなりました。
アリドウシは数年見ておりません。
小さな花ですが存在感があります。
コメント有難うございます。
ササユリは今年は少ないと云う話を聞きます。昨秋の台風21号の影響で、関西ではどこの山も今もって大荒れ状態です。多分、倒木や土砂崩れなどで、山野草の自生地も影響を蒙ったこともあるのでしょう。勿論、心ない盗掘もあるでしょうね。
コメント有難うございます。
ヒメサユリは残念ながら私は実物を見たことがありません。長野県あたりは、ササユリとヒメサユリの境界線でしょうから、上手くいけば両方見られる可能性もありますね。チャンスがあると、いいですね。
コメント有難うございます。
丁度、今がササユリの見頃ですね。今日から奈良・率川(いさがわ)神社の「三枝(さいくさ=ささゆり)祭」が始まりました。ササユリの古代名はサイクサで、三輪山の麓で、この花を手にして遊んでいた七人の乙女のうちの一人、ヒメタタライスズヒメを、カムヤマトイワレビコ(後の神武天皇)が一目惚れして結ばれた、と伝えています。このヒメタタライスズヒメが率川神社の主祭神で、お祭には、三輪山・大神(おおみわ)神社からササユリが送り届けられます。ささゆり祭はこちらをご覧ください → http://bell3.blog.jp/archives/8779462.html
コメント有難うございます。
ササユリは、経験上6月10日頃が見頃ですが、今年は3ヶ所へ花を見にいきまいたが、花は少なかったです。昨秋の台風21号による山の荒れが影響しているように思われます。ナワシロイチゴの実がもう成熟していましたか。こちらよりも早いですね。シライトソウも株数が随分少なくなりました。