この時期に見られた草本たちです。
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キチジョウソウ(吉祥草)。キジカクシ科キチジョウソウ属の常緑多年草。関東以西の林内の半日陰場所に生えます。吉事があると開花するという伝説をもつ花で、名前の由来となっています。
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花期は9月末頃から12月初旬頃まで。根元から穂状花序を出し、花茎は赤紫色で、高さは10-15cmほど。花は下から順に咲き、下部にはメシベをもつ両性花、上部にはオシベだけの雄花をつけます。花は白い花被が基部で合生し筒状となり、先は6裂して反り返り、6本のオシベが突き出ています。
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シハイスミレ(紫背菫)。中部地方以西の山地の日当たりの良い場所に生えます。通常の花期は4-5月ですが、当地近郊の低山ではこの時期に咲いているのも時々見かけます。
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こちらのシハイスミレは別の山で見かけたものです。
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ツルリンドウ(蔓竜胆)が寒さにも負けず、まだ咲いているものもあります。
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一方、辛うじて実になったものや、蕾のまま萎んでしまいそうなものも見られました。
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キッコウハグマ(亀甲白熊)。キク科モミジハグマ属の多年草。全国の山地の木陰に生えます。花期は9-11月で、今年は10月頃から山で探してみましたが、開花前や閉鎖花ばかりで、開放花は見られず、11月末に最後の足搔き(あがき)で山に行ってみました。花は殆ど終わっていましたが、幾つかの開放化が見られました。
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後向きの花もあり、顔を見せてくれません。
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顔を見せてくれた花は、もう枯れかけていました。
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周囲ではキッコウハグマの閉鎖花が結実し、冠毛を付けた痩果(そうか=単純で乾いた果実)が沢山見られました。
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ツルアリドオシ(蔓蟻通し)の実。アカネ科ツルアリドオシ属の常緑ツル性多年草。花は必ず2個つき、果実は1個(合着した二つの子房がまとまった形で膨らんだもの)です。左右2個の花の萼の痕が、果実の表面に残っています。
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ヤブミョウガ(薮茗荷)の実。ツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草。実が熟して濃い青紫色になっていました。
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コモチシダ(子持ち羊歯)。シダ植物でシシガシラ科コモチシダ属の常緑性多年草。東北以南の湿った崖や古い崩壊跡地などに見られることが多い大型のシダです。太い根茎から出て株立ち状となり、葉柄は長さ30-60cm、葉身は30cmから2mに達することもあります。
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葉が古くなると、その表面のあちこちから 無性芽 が出て、小さな葉を広げます。和名は、この芽を子供に見立てたものです。非常に特徴のあるシダですが、仲々出会えずにいました。ようやく、この目で見ることが出来ました。
★当地のリンドウ状況
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当地の リンドウ(竜胆)は花期が遅く11月頃に開花しますが、開発と盗掘で殆どが姿を消してしまい、2-3ヶ所で細々と命を繋いでいます。今日は3ヶ所でリンドウと出会いました。1ヶ所は従来から見られていた場所でしたが、あと2ヶ所は新たに見つけた場所でした。
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新たに見つけた場所の一つは、よく通る田んぼの畦でした。雑草に混じって今まで気がつきませんでした。背丈の高い草が枯れて初めて顔を見せてくれました。
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3ヶ所目は、もう数え切れないくらい(ゆうに100以上)の花が咲いていました。こんな自生地があったとはビックリです。今まで関西各地でリンドウを数々見てきましたが、これほど1ヶ所で大群生している所は私も初めてです。末永く生き残ってほしいものです。