水田周りや里山を散策した時に出会った道端の植物たちです。
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田植え前の この田んぼの水たまりは真っ赤です。その正体は アカウキクサ(赤浮草)です。一口にアカウキクサと云っても幾つかの種類があり、これは多分 オオアカウキクサ(大赤浮草)と思われます。シダ植物門アカウキクサ科アカウキクサ属の多年草。浮遊性の水生シダ類のひとつです。アカウキクサ類は水面を覆いつくし、水温が上がらなくなるため、かつては水田雑草として嫌われました。しかし、除草剤に弱いためか、現在では被害がないどころか、希少な植物となり絶滅危惧種になってしまいました。オオアカウキクサは 環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)で、全国36都府県でRDBに登録されています。近畿地方では‥大阪府:既に絶滅、京都府・兵庫県・和歌山県:絶滅危惧Ⅰ類、三重県:準絶滅危惧種、滋賀県:要注目種 に指定されています。
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よく似たアカウキクサは草体がやや平面的な三角形となるのに対し、オオアカウキクサは立体的で鳥の足のような形状となる とのことで、後者であろうと判断しました。
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アカウキクサを取り上げたついでに、もう一つ水生シダ植物を。オオサンショウモ(大山椒藻)です。シダ植物門サンショウモ科サンショウモ属の一年草ないし暖地では多年草。熱帯アメリカが原産地で、日本では観賞用の水草として輸入されましたが、1955年に愛知県の河川で野生化しているのが初めて確認されました。
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水面に葉を浮かべて浮遊する浮草タイプのシダです。これもシダ植物には見えませんが、葉の下に胞子嚢(のう)をつけ、胞子で繁殖します。増殖速度が速く、3日で倍に成長します。在来種のサンショウモ(絶滅危惧種)を駆逐する懸念があり、外来生物法により要注意外来生物に指定されています。丸い葉が左右交互に並ぶ姿をサンショウの羽状複葉に見立てたのが名前の由来です。
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レンゲ(蓮華)。マメ科ゲンゲ属の二年草。原産地は中国で、1709年の記録が残っており、江戸時代の前頃には日本に渡来していたようです。明治以降になってから急速に全国に広まりました。ゲンゲ(紫雲英)と云うのが標準和名ですが、普通にはレンゲ(蓮華)、レンゲソウ(蓮華草)と呼ばれています。関西ではレンゲが当たり前で、初めてゲンゲと聞いたときは??でした。
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白花のレンゲ。レンゲの白花変種です。まだ咲き始めで、真っ白な花は見られず、クリーム色でした。
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田植え前の田んぼの畔や野原では、白花と赤花のレンゲが混じって咲いています。
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ヤワゲフウロ(柔毛風露)。フウロソウ科フウロソウ属の越年草。地中海沿岸が原産の帰化種です。7年前に初めて出会った時には、どの図鑑にも載っていないし、NET上での情報も殆どなくて名前を割り出すのに苦労しましたが、今は各地にも勢力分野を広げて名前も少し行き渡ってきました。
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外来種ですが、特にメクジラを立てるような植物でもなく、少なくてもアメリカフウロよりは花も大きく、花色も濃い鮮やかなピンク色で、見栄えのするフウロソウです。
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タガラシ(田辛子、田枯し)。キンポウゲ科キンポウゲ属の二年草。全国の水田周りや水溜り近辺に生えます。
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ノボロギク(野襤褸菊)。キク科キオン属の二年草。ヨーロッパ原産で明治時代に渡来した帰化種です。全国の道端や畑近くに生えます。花は真冬にも咲き、一年中見られますが、冬から春にかけて咲いているのがよく目立ちます。総苞片の先端が黒紫になり、三角形の模様に見えるのが特徴です。
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ヒメウズ(姫烏頭)。キンポウゲ科ヒメウズ属の多年草。関東以西の里や山道の脇など、やや湿った日陰の場所に生えます。花期は3-5月頃、花は小さくて5mmほどで、うつむき加減に咲きます。
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花弁のように見えるのは5枚の萼片で、その内側には黄色味(写真では黄緑色)を帯びた花弁があります。
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ムラサキハナナ(紫花菜)。アブラナ科オオハラセイトウ属の二年草。原産地は中国で、日本では江戸時代に輸入されて栽培されたものが野生化し、全国で見られます。花期は3-5月、花は茎先につく総状花序で、薄紫色の花弁には細い筋模様があります。花期の後期では徐々に花弁の色が薄くなり、最終的には白色に近くなります。