4月20日過ぎに見たクマガイソウの蕾。GWには開花するだろうと推測、その時期になれば別の場所へ見に行く予定でしたが、全国的に緊急事態宣言が出されたため、遠出は諦めていました。しかしGW明け(5/11)から、緊急事態宣言が一部緩和され、各種施設や店舗も営業を再開、外出も以前ほど人目を気にしなくてもいいようになり、今なら、まだクマガイソウに会えるかもと、某山地へ日帰り遠出に出掛けました。
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クマガイソウ(熊谷草)。ラン科アツモリソウ属の多年草。北海道南部から九州にかけて、低山の森林内、特に竹林や杉林などに生育し、大きな集団を作ります。花は葉の間から伸びた茎の先に、横向きに付き、花弁は5枚の細い楕円形で緑色を帯び、唇弁は10cmほどに膨らんだ白い袋状で、赤褐色の模様があります。唇弁の口は左右から膨らんで狭まっています。全体の草丈は40cmくらいで、扇形の特徴的な葉が、2枚対生して付いています。
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クマガイソウは私の大好きな植物で、ほぼ毎年ブログに取り上げていますので、説明は割愛、写真中心です。
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花の大きさは、日本の野生ランの中で最大級と思います。袋状の唇弁の特殊な構造が際立っています。名前の由来は、袋状の唇弁を源平・一谷の戦いで、平敦盛を討ち取った熊谷次郎直実の母衣(ほろ)に見立てたもの。これに対して平敦盛の名を取ったのがアツモリソウです。源平合戦では源氏が白旗、平氏が赤旗を掲げて戦いましたので、白い母衣を源氏の熊谷直実に、赤い母衣を平氏の平敦盛に見立てたようです。
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ちなみに、こちらが3年前に信州で見た アツモリソウ(敦盛草)この品種は、正しくは カマナシホテイアツモリソウ(釜無布袋敦盛草)と云います
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クマガイソウは、環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)。全国45都道府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥京都府・大阪府・奈良県・和歌山県・滋賀県:絶滅危惧Ⅰ類、兵庫県・三重県:絶滅危惧Ⅱ類 となっています。
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杉林の中で、クマガイソウと一緒に咲いていた エビネ(海老根)です。ラン科エビネ属の多年草。全国の低山などに自生します。花期は4-5月で、株の中心から1-3本の花茎を立ち上げ、花は平開し、茶褐色ないし淡緑色、唇弁は白色で3裂し、中裂片はさらに2裂しています。質素な色合いが特徴で、ジエビネとも呼ばれます。
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エビネは、環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)。全国46都道府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥和歌山県:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府・兵庫県・三重県:準絶滅危惧種、京都府:要注目種、滋賀県:その他重要種 となっています。
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ユキモチソウ(雪餅草)も1株見られました。自生地は限られており、近畿地方と四国地方、それに九州の一部地区だけです。ユキモチソウは、環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)。全国10府県でRDBに登録されており、近畿地方のRDBは‥京都府:絶滅、大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・三重県:絶滅危惧Ⅰ類となっています。