里山をウォーキングしていると、いろいろな動物達と出会います。水辺では蛙や亀、野山では蛇・兎・狐・狸・猿、集落に近い所ではイタチやテンなど。猪も結構いるようですが私は出会ったことはありません。恐らく山奥には鹿や熊もいるのでしょう。最近はアライグマ(の被害)も話題になっています。ここでは、そんな動物との出会いとショットについて紹介してみたいと思います。

(1)サル~日本猿

 農家の人が困っているのはサルとイノシシです。農作物を片っ端から食べたり踏み荒らしたりします。ウォーキングしていると畑や田圃の周囲にはイノシシ対策用の電気柵が張られていて、「危険!高圧電流」と云った表示も目に付きます。でもサルには皆さんお手上げのようです。美味しい食べ物や食べごろの時期などを親が子どもにちゃんと教えているし、何か手を打っても頭が良くて学習能力が高いのですぐクリアしてしまうようで、これといった対策がないようです。集団というかグループで行動するのも他の動物とは違った点です。この地(旧加茂町)や和束町などをウォーキングしていると時々出会います。

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 なかには堂々と家の中に入ってくるツワモノもいるそうです。

(2)キツネ~狐

 ウォーキングで山の樹林帯から、太陽の光がいっぱい当たっている、里山のふもとにある畑に出てきました。一息ついて一服するため足を止めると、畑の脇で1匹の犬がお座りしていて、のんびりと手を舐めたり顔を洗うような仕草をしてお手入れしています。野良犬かと、別に気にも留めずに立ち止まって休んでいました。でも少し痩せ気味でスリムな身体だったので、もう一度よく見直しました。えっ!キツネじゃないないですか。急いでカメラを取り出そうとしたら、その音に気付いたのでしょう。キツネは一瞬こちらの方をジッと見つめたかと思うと同時に、立ち上がって反対方向へ一目散に逃げて行きました。

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 しまった!逃げられた。あわててカメラを構えてシャッターを切りましたが、もうアトの祭りです。お顔の代わりにお尻を撮ってしまいました。

(3)イノシシとマムシ

 イノシシとマムシのちゃんとした写真を撮りたいと思っているのですが、これは単なる願望でしょうね。もし実際出会ったら、もう逃げるのに必死で、写真どころではないでしょう。
イノシシが掘り返した山や畑の土の跡は、もう毎日のようにウォーキングの時に見ているのですが、実際にこの地で野生のイノシシと出会ったことは一度もありません。本来、イノシシは夜行性ではないようですが、人間との関係から、実際は夜間に行動することが多くて、昼間には出会わないのだろうと思っています。
マムシとは何度か出会いましたが、やはり冷静にカメラを構えて撮影するという状況ではなく、跳びかかってこられないように、本能的に後ずさりしてしまいます。間隔を十分に開けてから、カメラを手にしても、もう姿を見失っていたり(逃げられたり)、遠くから急いでシャッターを切ったものの、ピンボケやフレームアウトなどで、まともに写っている写真は一つもありません。

 ある時「イノシシ肉は身体が温まって精がつきますよ…だってイノシシはマムシが好物だからね」と地元の農家の人に聞きました。 えっ!本当? 京都や兵庫で獲れた猪肉を購入して来ては、いっぱしの食通気取りだった私は、ビックリ! イノシシはマムシも食べてるの? 噛まれたりはしないの? と、早速、ネットで調べてみました。

 最初に接した情報は「イノシシだってマムシに噛まれたら死んでしまう」というものでした。でもこの人は、猪がマムシに噛まれて死んだという事実を実際に見たり・聞いたりして知っているのではなく、どうも、マムシの毒性から理屈的に、そう主張しているような感じでした。

 実は、我が家の愛犬が昔、散歩から帰ってくるなり顔が倍以上に腫れ上がったことがありました。ハチに刺されたのではと思って、急いで獣医さんに連れて行ったら「これはハチじゃない、マムシに噛まれたんだよ」と解毒剤を打って貰いました。私の身代わりになって噛まれたのだと思うと思わず涙がこぼれてきました。3日間くらい顔がムチャクチャに腫れていましたが、やがて治りました。痛かったと思いますが、キャンキャンと鳴くこともなく、ジッと我慢していた姿が忘れられません…。 獣医さんからは「犬はマムシに噛まれても死にませんから、安心してください」とも説明を受けました。その後、知人からも同じような体験談を聞きました。ネットで調べてみても、マムシに噛まれた犬のことが、いろいろ載っていますが、いずれも死んだという記事は見つかりませんでした。犬は大丈夫のようです。

 でも、イノシシはどうなのでしょうか。イノシシは犬よりも体が大きいので大丈夫だろうとも思いますが、やはり調べておくべきでしょう。 沖縄では「猪がハブを食べる」ことが研究者によって確かめられたという情報が、仙台や伊勢からは「近年マムシが減ったのは、猪がマムシを餌にしている可能性がある」という報告など、いろいろありました。また、シートンの作品中には「猪はガラガラヘビに噛まれても全く平気だった」「ガラガラヘビの沢山いるところで豚を飼育したところ、どの豚もガラガラヘビに噛まれたが平気だった」と云うことが記されている、という情報もありました。このように「イノシシはマムシに噛まれても大丈夫」という意見は、専門家の人も含めて、かなり多数(優勢)でした。イノシシはマムシに噛まれても死ぬようなことはない、そしてイノシシは普通のヘビも食べるのだから、多分マムシも食べている、というのが私の結論です。

 ここで大事なことは、後者の人達は、実際にそうした事実を見たり聞いたりして、こうした結論を導き出しているということです。私は何事に限らず、いつも「理屈や理論は後回し。事実がすべてに優先する」ということを、自らの判断基準として一番重要だと思っています。恐らく農家の人も、自分が見たり、家族などから伝え聞いたりして、イノシシはマムシが好物で食べているということを、経験的に言われたのだったと思います。「農家の人が言われたことは正しい」と今では確信さえしています。皆さんは、どう思われますか?

 話が少しずれてしまいました。この項目では、そういうわけで適当な写真はありません。でも、話だけでした、では標題を裏切ってしまいますので、「次のような銭型(ぜにがた)模様があればマムシですから、気を付けて下さいね」という警告を兼ねて、死んだマムシの写真をアップしておきます。マムシは農作業の嫌われ者なので、見つかり次第、頭を叩かれ殺されてしまいます。

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 寒い冬が近づいてきました。もし又、ボタン鍋を食べる機会があったら、きっとマムシのことを思い出すのでしょうね…精がつくでぇ。

(4)不思議で衝撃的な出来事~ある動物の死

 右手は木や草が生い茂った薄暗い山の斜面、左手は谷に落ち込んでいる斜面、そんな普段誰も通っていない山道を、一人ウォーキングです。時折、樹木の途絶えたところでは、暖かい太陽が射(さ)し込んで来て、とても11月の中旬とは思えません。

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 山の斜面にはフユイチゴの赤い実が、所々に見え隠れして来ました。今度こそはいい写真が撮れるかなと、ウォーキングの足を止め、斜面のフユイチゴにカメラを近づけてシャッターを切った時でした。
ガサ・ガサ・ガサッと左手の草むらから音がしたと思ったら、続けてドッスーンという落ちるような大きな音が…。
あわてて音のした方向を見ると、7~8m先に何か動物が飛び出して来ていて、道の上で手足を上(宙)に挙げて、背中を地面にこすり付けているようです。そう、馬や犬などが「砂あび」するのと同じような格好で、2~3回背中をグリグリしながら砂あびを始めたようでした。 これはチャンスとばかりに、カメラを急いでそちらに向けて1枚目のシャッターを切ると、ほぼ同時に、その動物は横向けに寝転んでしまいました。 あれっ?どうしたのかな? と不信ながらも、逃げられたら元も子もないと云う思いから、不自然な姿勢のまま何枚か写真に収めました。動物はジッとして動きません。山道は日が射(さ)していて暖かそうなので、気持ちよく昼寝をはじめたような感じです。手前には崩れ落ちたような土が散乱しています。

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 1枚目の写真では、まだ少し手足が宙に浮いています。この写真だけが動いていた(生きていた)のを証明できる唯一のものです。2枚目の写真は、そのあとすぐ横たわってしまった時の写真です。手足も地面に着いてしまっています(注:今、改めて写真で見ると、その動物が何であるか判別しやすいのですが、その時は、私の視力では見分けることが出来ませんでした)。こちらは身体(足の向き)が山のイチゴの方に向いたまま、上半身と顔だけが90度左へ曲げて動物の方に向いています。不自然な姿勢で身体がよじれていて、だんだん痛くなってきました。何とか動物の方に向き直したいのですが、下手に動くと感づかれて逃げられてしまう、とガマンしていましたが、もう限界です。そーっと、向きを変えましたが、よかった、感づかれていません。それならと、また何回かシャッターを切りました。動物の顔がこちらを向いているのですが、鼻と口のあたりが土で汚れていて、何者かよくわかりません。カメラをズームにして覗き込むのですがハッキリしません。

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 もう横たわった姿は何枚も撮りましたので、あとは感づかれてもいいので、逃げる瞬間の動きのある写真をなんとか撮りたい、と気付かせるために口笛を吹いてみました。

 気が付かないようです。続けて3回ほど吹いてみましたが、同じです。それならと、1歩また1歩とカメラを構えたまま、近づき始めました。余り目が良くないので、仲々正体が判明しません。ようやく3m位まで近づいた時、アッ!ウサギだ!野ウサギだ!とわかりました。それにしても何故逃げないのか、どうしたのか。すぐ近くまで行ったが動きません。思い切って触れてみました。反応が全くありません。 死んでいる!! 目は大きく見開いていますが、少し膜がかかっているようにも見えました。もともと死んでいたのか? それならどうしてここへ転がってきたのか? 先ほど「砂あび」のような仕草は転がってきた反動だったのだろうか? でも少し違うような気がしました。ガサ・ガサ・ガサッという音とドッスーンという音は、何かに出くわして驚いて跳び出して来た音ではなかったのか。そう考える方が自然です。そうだ!と思い直して、身体に触れ直してみました。温かいです、温かい体温がはっきりと掌に感じられます。やはり今まで生きていた証拠です。たった今、ここで死んでしまったに違いありません。

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 でも何故死んだのか。口と鼻先のあたりが土で汚れていました、推測できる手口はこれかもしれません。多分、土の表面か、土の中に顔を突っ込んでいたのではないか。そこで強烈な刺激のある毒キノコでも食べたのか、あるいはスズメバチとかムカデに急所を刺されたのか、いろいろな想像が頭の中に浮かんできます。でもそのようなことで野ウサギが簡単に死んでしまうのかと、疑問は続きます。一番考えられるのは「マムシに噛まれたのでは」ということです。ウサギ位の大きさならマムシに噛まれたら死んでしまう可能性は大きいと思われます。更に推測するなら、噛まれて毒にやられたとしても即死とはならないのでは? むしろ、噛まれたそのショックが大きくて死んだのではないかと思われます。でも詳しく観察したわけではありませんので真相はわかりません。あの「砂あび」のような行動は、ビックリした・痛かった・苦しかった、いわば最後のモガキだったのでしょう…。

 私の目の前に出てきて死んでしまったのは、偶然だったのか、運命だったのか? 誰もいない昼の山道で、私と野ウサギが出会い、私がその死を見届けたことだけは事実です。合掌。