加茂町には、現在確認されている古墳だけで36基あり、大半が6世紀以降に築造された後期古墳だそうです。毎年、山の樹木の葉が落ち、下草が枯れてなくなった1~2月頃に、「ふるさと案内・かも」の主催で「古墳めぐり・ウォーキング」があります。今年は 1/14に行われ、私も昨年に引き続いて参加しました。

★ふるさと案内・かも「当尾への古道沿いに古墳をめぐる」 1/14

 いつもの例会どおり、集合時間は9時15分。今回の集合場所は加茂駅東口広場前です。約60名の参加者がありました。

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 駅東地区の愛宕灯篭の横を通って、新川を渡り、美浪地区から新川沿いに草山古道(ながさか道)の山道に入っていきます。山道の樹木に巻き付けられた古墳登り口の目印であるビニールテープのあるところから、急な山の斜面を登っていきます。落ち葉で滑り落ちそうになりながら、約10分程で草ヶ山古墳に到着します。

 草ヶ山古墳は築造時期は6世紀前半、石室構造は竪穴系横口式石室と云われています。

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 写真(上)は、古墳の手前にある「草ヶ山古墳」の標識です。加茂の森林守り隊が取り付けられたものです(2009.5 撮影のもの)。
 写真(中)は、南開口部から北開口部に向けて今回撮ったものです。南開口部は石室上部の石蓋が落下して出来たものです。
 写真(下)は、今回は落ち葉がたまって石室内には入れなかったので、2011.9に石室内を撮影したものです。資料によりますと、玄室長は4m弱のようです。

 見学後は、登って来た道を下って、草山古道まで戻ります。東城樋(下の写真)を通り過ぎると、旧長坂道の長い上り坂を北下手方面に向かいました。

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 北下手公民館を経て長坂川左岸の歩道から右下に「涼み岩」が見えます。この岩は森八幡宮の神様が夕涼みをした岩と伝えられています。近年の道路拡張工事で、この神石も半分コンクリートに埋まってしまい、味気ない姿になってしまいました。

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 下手口バス停を右折し、府道「天理加茂木津線」を加茂方面に進んで行きますと、くぬぎ坂旧道の当尾側(南側)分岐点があります。昔は牛車も通った石畳の道だったそうですが、今は荒れてしまって石の凸凹の厳しい道となってしまっています。この道筋の途中から山中に入ると「前椚古墳群」です。前椚古墳群は1号墳から5号墳まであり、加茂町の古墳群では最大規模のものです。

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 山に入って最初に見えるのが3号墳(写真・上)で、横穴式石室の天井石が露出しています。近くに4号墳もありますが石材が散在しているだけで古墳らしい姿はうかがえません。
 更に西方面へ進んでいきますと、丘陵先端部に2号墳があります。この2号墳は正式に発掘調査が行われており、金環・管玉などの遺物が出土しています。西面に石室入口(写真・中)がありますが、西面は府道「天理加茂木津線」道路の切り立った山の斜面上ですので注意が必要です。両袖式の横穴式石室で全長10.7m、玄室長5.1m (写真・下)、比較的保存状態も良い古墳です。5号墳もこの近くにあるようですが、誰もご存知ないようで案内もありませんでした。私も過去何度かここへ来て5号墳を探してみましたが未だにわかりません。見学したあと、元のくぬぎ坂に戻ります。

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 くぬぎ坂旧道の加茂側(北側)分岐点(写真・上)を入ったところが前椚1号墳(写真・下)ですが、墳丘は殆ど破壊されてしまい、石室の石材が一部露出しているだけです。府道を下って南加茂台に向かいます。

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 南加茂台2丁目の民家の石垣面に「西椚窯跡」の標識が埋め込まれています。西椚窯跡は南加茂台住宅開発の際に発見され、発掘調査も行われて、奈良時代前半から中頃と考えられる多量の須恵器が出土しています。

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 最後に訪れたのは、井手塚古墳です。旧加茂町尻枝、現在の南加茂台10丁目の住宅地の東側の造成斜面下にあります。全長9.4m、玄室長4.8m の右片袖式・横穴式石室です。南向きに開口部がありますが、今は殆ど埋まってしまっています(写真・上)。草や笹竹が茂る時期は開口部も探し出せない状況となっています。(写真・下) は2011.8 に開口部から石室内を撮ったものです。年々埋まっていく状況がうかがえます。昔、ここを訪ねた古墳マニアによりますと、玄室内はヘドロ状態で異臭が漂い、二度と入りたくない古墳の一つだと嘆いておられました。地元の人間としては残念な限りでしたが、今は自然と埋め戻し状態になってきて、もう入ることさえ難しい状況です。

 本日のウォークは、ここを最後に出発地の加茂駅に戻って解散となりました。約7.0kmの歩程でした。

★おまけ

 折角ですので、以前私が訪ねたその他の古墳も、追加で紹介させていただきます。塚穴古墳と砂原山古墳で、いずれも南加茂台住宅内にあります。*掲載写真はいずれもその時に撮影したものです。

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 南加茂台の塚穴公園の東北端にある塚穴古墳1号墳(写真・上)と2号墳(写真・下)です。1号墳は一辺25mの方墳で、両袖式、横穴式石室の玄室は3.5m ですが、現在は埋め戻されています。2号墳は1号墳の南30mにある径15mの円墳で、横穴式石室の石材が墳頂に露出した状態となっています。

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 砂原山古墳は南加茂台の西端、赤田川に面した所にありますが、私有地で中に入ることは出来ません。直径25mの円墳で、ここからは台付壺・広口壺・甕が出土しており、弥生時代末から古墳時代初頭に築造されたものと考えられ、加茂町内の古墳では一番古いものです。