三重県上野森林公園主催の「薬草観察会」がありました。予約制で先着○名限定とありましたので、早々に予約を入れておきました。当日はゴールデンウィーク中とあって、午前9時半の集合時間に遅れぬように早めに自宅を出発です。雲一つない好天の中、木津川に沿って国道163号線で伊賀上野まで走り、森林公園に直行です。

★三重県上野森林公園 ”薬草観察会” 4/29

Mini_p4290005

Mini_p4290006_3

 公園内のビジターコテージで受付して、本日の説明と講師陣の手早い紹介があり、すぐに園内探訪です。講師陣は昨年の春秋も担当された「伊賀薬剤師会」の皆さんです。

以下、出会った植物(使用部位)とその効能・効果、及び裏話などです。

▲コブシ(蕾):鼻づまり・蓄膿症。
▲タンポポ(根・葉):健胃・解熱・去痰。根を用いたタンポポコーヒーはカフェンレスで人気があって美味しいです、ニキビやオデキにも効果ありです。タンポポの葉っぱが虫に食われていることは無いでしょう、何故でしょう? それはあの白い汁がゴム質で粘(ねば
)つくのを虫は知ってるから食べないのです。

そーなんや、こりゃ勉強になるな。しっかり覚えて帰ろっ。

Mini_p4290018

▲オトギリソウ:止血・ハレ。弟切草は日本で一番残酷な名前を付けられている植物です。「平安時代この草を原料にした秘薬(傷薬)の秘密を漏らした弟を兄が切り殺したという伝説」が名前の由来です。血の跡(血痕)が残っています、と大きな拡大写真を見せてもらうと、葉っぱに赤黒い斑点が一面についています。西洋オトギリソウは「セント・ジョーンズ・ワート」と云います。ジョーンズはヨハネの英名ですね。聖ヨハネの植物…?。わかりますか…??。
(*筆者・注)西洋オトギリソウの
花や葉をこすると赤い汁が出てきます。これを西洋では、ヨハネが斬首された時に流れ出た血の象徴とみなし、葉の黒い斑点もヨハネの血痕とみなされているのです。蛇足ながら、ヨハネの生首を所望したのはサロメでしたね。
日本でも西洋でもオトギリソウは怖い言い伝えが残っていました。

Mini_p4290020

▲ヌルデ(虫こぶ・実):下痢止め・咳止め。葉の翼(ヨク)に虫が卵を産みつけて虫こぶが出来ます。その虫こぶを虫が出る前に採取し、煮沸して用います。昔は、虫こぶはお歯黒にも使われ、実はしょっぱいので塩代わりにも使われました。翼があるかないかでウルシとの区別が出来ます。

Mini_p4290021

▲イヌザンショウ(葉・実・樹皮):肩こり・打撲・咳止め。イヌ(犬)とつくのは「役に立たない」ものに付けられますね。一説には「イラヌ」が短縮されて「イヌ」になったとも…。でも江戸時代はイヌザンショウは「道中達者薬」と云って旅の疲れを取り去る必需品でした。香りとしては役立たずでしたが、クスリとしては大いに役立ったのです。ちなみに、トゲが対生なのはサンショウ、互生はイヌザンショウです。

▲ミツバアケビ(茎):しもやけ・利尿・むくみ。
▲タカノツメ:利尿。食用にする場合、新芽のつぼみより葉が少し開いた方が苦味も少なく、美味しいです。天ぷらが一番です。
▲ハコベ(葉):採乳・歯槽膿漏予防。
▲ウメ:風邪。薬用酒にも利用。

Mini_p4290025

▲ワレモコウ(根):下痢止め・ヤケド・止血。ワレモコウは独特の花姿が有名ですが、葉もかなり特徴的で分りやすいです。

▲スギナ:利尿。土壌が酸性になってくると生えて来るので、土壌管理に役に立ちます。これが生えて来たら石灰で中和しましょう。
▲タケ(竹の中の白い皮):咳。
▲イチョウ(実・葉):咳止め。健康食品としてイチョウ葉エキス。この木は火事に強いので、建物を守るために神社仏閣等でよく植えられています。(*筆者・注)余談ながら、イチョウが火災の時、幹や枝から水を噴出して「自己消火」した事例は、近年でも関東大震災や太平洋戦争の空襲の際などで多くの目撃談があります。防火樹としてのイチョウは原爆のあとも焼け残り、翌年には芽吹いてきて、米軍がビックリして、研究用にイチョウを持ち帰ったくらいです。

Mini_p4290026

▲クズ(根):風邪。漢方の葛根湯で有名。花は二日酔いに効く。写真くらいの新しい芽は天ぷらにして食べると美味しいそうです。

Mini_p4290027

▲ハハコグサ:去痰・咳。ヨモギ餅というのがありますが、昔はお餅にはヨモギよりもハハコグサが使われていました。

▲センブリ:苦味健胃薬。育毛作用もあります。
▲フユイチゴ(実):強心強精。

Mini_p4290034_2

▲オオバコ:咳止め・利尿・腫れ。この植物は踏み付けに強いので、人がよく歩く道筋に生えることが多い。逆に人が踏み込まないような所では高く伸びる性質を持たないので、他の植物に負けてしまうそうです。山で道に迷った時など、オオバコが生えている所をたどって行くと戻れる、とも云われています。ラテン語で「プランタゴ」と云いますが、意味は「足跡」ということです。

Mini_p4290032

▲チドメグサ(葉・茎):止血。

Mini_p4290036

▲スイカズラ(花・葉):花は解熱・葉は関節痛。別名:忍冬(ニンドウ)、金銀花。

Mini_p4290040

▲ドクダミ:解毒・便秘・利尿・動脈硬化予防・蓄膿症。生薬名:十薬(ジュウヤク)。ドクダミの花を見たことある人は? (全員)はーい。花の色は? (ほぼ全員)白です。残念でした、白いところは総苞といって真ん中の黄色いところが花で、正解は黄色でした。(全員)ショボン…。

▲イタドリ(根・葉):便秘・蕁麻疹。葉を揉んで出血したところに当てると止血し、痛みも和らぎます。痛みを取るので「イタドリ」です。
▲アカメガシワ:腫れ。
▲アオツヅラフジ(茎・根・実):利尿。
▲カキノキ:渋は血圧下げに、ヘタはしゃっくり止め、葉はビタミンCが豊富でお茶などに利用。甘柿は酔い覚ましにいい。
▲ヤブコウジ(根):化膿性の腫れもの・咳。
▲ワラビ:利尿。

Mini_p4290064

▲ヘビノボラズ(葉・実):葉は目の充血・炎症に、実は苦味健胃に用いられます。丁度今、ヘビノボラズは開花期で、黄色い花をいっぱい咲かせていました。昨年の赤い実も一部残っていました。

Mini_p4290054

▲ミヤマガマズミ(実):薬用酒にして用いる。疲労回復・動脈硬化。

Mini_p4290055

▲サルトリイバラ:利尿。新芽は食べられます。

Mini_p4290129_2

▲ノイバラ(実):下剤。

Mini_p4290059

▲ツリガネニンジン:咳止め・去痰。キキョウの仲間です。若い芽は山菜のトトキとして食用にされます。

Mini_p4230064

▲キランソウ:高血圧、鎮咳、去淡、解熱、健胃、下痢止め、別名を「ジゴクノカマノフタ」というが、これは「病気を治して地獄の釜にふたをする」ということからだそうです。「医者イラズ」とも云う。

▲キキョウ(根):去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱。
▲ホオノキ(樹皮):つわり・吐き気止め。

Mini_p4290135

 園内の植物を探訪しているうちに、あっという間にお昼となり、コテージに戻って解散となりました。いい勉強になりましたデス。

Mini_p4290092_3

 東屋に行って持参した弁当を食べ、午後は一人で園内を散策です。三重県では準絶滅危惧種のハルリンドウがいたる所で可愛い青い花を咲かせていました。