今月は暑さのためにウォーキング・イベントも少なく、たまに近くの里山を一人で歩いてみても、これといった花にも余り出会いません。加えて、オリンピックの終了と入れ違いに高校野球が始まると、連日テレビに釘付け状態で、ますます家から出ることが減ってきました。昨年、秋に訪れた信州を今年は夏に日程変更し、花と涼を求めて外出することにしました。

★信州に花と涼を求めて~霧ヶ峰・白馬山麓・上高地 8/21-22

 今回もお世話になったJTBのツアー・コースは昨年と殆ど一緒です。宿泊地が栂池高原から白馬落倉に代わったくらいです。私としては「気温が少しでも低い上高地で穂高連峰を見ながらゆっくりウォーキングする」のが一番の目的ですから、宿泊地など細かいことは気になりません。

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 蓼科山を見ながら白樺湖(写真・中央やや左)を過ぎると、車山高原・霧ヶ峰です。皆さんはリフト乗り場に急ぎますが、私は一人で湿原を散策です。高原ガイドさんを素早く見つけて「アケボノソウは開花してますか」と訪ねますと、「今年はまだ開花情報が出ていませんね。アケボノソウは高原ではシーズン最後ですから、これを見る時は他の花は殆ど見られませんし、他の花を見たければアケボノソウは断念せざるを得ませんね。どちらの時期を選ぶかでしょうね…」。そう云えば去年は9月後半だったので咲いていたのです。その代わり今年はいろいろな花が見られました。ここ(ブログ記事)ではウォーキング中に出会った花を少しだけ載せていますので、今回出会った花のいろいろについては、フォト・アルバム「信州で出会った植物(2012)」をご覧下さい。

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ワレモコウ(吾亦紅、吾木香)

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ツリガネニンジン(釣鐘人参)。

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ルリトラノオ(瑠璃虎の尾)がここで見られるとは、と思っていたら、同じルリトラノオ属の ヤマトラノオ(山虎の尾) でした。

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アカツメクサに飛んできた ウラギンヒョウモン

 車山から霧ヶ峰に移動し再び休憩。高原の空気をいっぱい吸い込んで満喫したあと、宿泊地の白馬山麓に向かいました。

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 夜のうちに雷雨があって、早朝はモヤがかかっていたのですが、7時半頃には青空が見えてきました。ホテルの前から見た白馬三山です。 左から、白馬鑓ケ岳(ハクバヤリガタケ)、杓子岳(シャクシダケ)、白馬岳(シロウマダケ)です。この三山を縦走した若い頃の思い出が蘇ってきます。それにしても邪魔な電線です。これがなければ、いい写真になったのに…残念でした。

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ホテル周辺(白馬山麓)で見た ツリフネソウ(吊船草)。別名:ムラサキツリフネ(紫吊船)。花の形はキツリフネに似るが、色が赤紫色であることと、花の後ろに伸びる距の先端が渦巻き状に巻くことが本種の特徴である。なお一般にツリフネソウ属の花は葉の下に咲くが、本種はその例外である(ウィキペディアより)。

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ボタンヅル(牡丹蔓)。絡みつく木々がなかったのでしょう。地面一面に這っていました。花はセンニンソウとそっくりですが、葉の形状が違います。

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シナノオトギリほど花は大きくなかったので、イワオトギリ(岩弟切) のように思ったのですが…、ちょっと自信ありません。

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 上高地に入って、すぐの大正池で下車、ウォーキング・スタートとしました。暑くもなく寒くもなく丁度良い気候でした。平日といえども夏休み中なので湖畔は大勢の人達でいっぱいでした。焼岳と大正池。

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 マガモの雌です。多くのマガモが池で遊んでいたのですが、朝からの多数の見物客相手に疲れたのでしょうか、カメラを向けると、皆な顔を羽の中に突っ込んでポーズに応じてくれません。

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 穂高連峰と大正池。私は河童橋から見るよりも、ここ大正池から見る穂高連峰が好きです。前穂高岳や西穂高岳もすべてパノラミックに展望できますから。頂上は少し雲に隠れていました。

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上高地でよく見られた キツリフネ(黄吊船)。その黄色い花と、後ろに伸びる距の先が巻かずに垂れるところがツリフネソウとの違いです。白馬山麓で見たツリフネソウと、いい対比が出来ました。

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ソバナ(蕎麦菜、岨菜)

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クサボタン(草牡丹)。幾つかの花と、花が終ったあとの羽毛状の種子とが同居していました。花の形は全く違うのですが、羽毛状の部分がまるでセンニンソウみたいやなぁと思ったので、帰宅して調べてみたら、やはりセンニンソウの仲間でした。

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 今日は森林の中を歩いていても日本猿と出会わないなぁと思っていたら、田代湿原のところで熊と出会いました…、じゃなくて、熊が出たという注意書きに…出会ってしまいました。それも昨日のことです。思わずリュックの中から常備の鈴を取り出して、背中に取り付け、チリンチリンと鳴らしながら歩きました。

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白い蝶のような蛾、7~8月に山地だけに発生する ノムラツバメエダシャク と思います。

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ツルキケマン(蔓黄華鬘)。

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アズマヤマアザミ(東山薊)。

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 田代湿原から梓川左岸に出て、川のせせらぎを聞きながら昼食としました。そのあと、田代橋・穂高橋を渡り、梓川右岸に出て、ウェストンのレリーフ前で一服です。河童橋をウォーキング・ゴールにしていたのですが、時間もまだ余裕がありましたので小梨平に入って散策です。清水川の橋を渡ると植物も少し違ったものが見られました。

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サラシナショウマ(晒菜升麻)。花穂はキリタンポのように上から下まで寸胴です。

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ヤチトリカブト(谷地鳥兜) があちこちで満開でした。上高地で発見された種で、全草猛毒です。

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キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)。ヤマオダマキの黄色版です。信州、特に上高地で多く見られます。

 今回はいろいろな花と出会えた上高地ウォーキング、歩程は約6.5kmでした。ここに掲載した以外の花については「信州で出会った植物(2012)」をご覧下さい。
 河童橋に戻ると先程まで頂上付近は雲に隠れていた穂高連峰が、全姿を現していました。

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 穂高連峰のアップです。中央左の頂きがジャンダルム、中央の平たく見える所が奥穂高岳(3190m、日本第3位高峰)、その右に前穂高岳へと続く吊尾根が見えます。ジャンダルム左手には西穂高岳へと続く天狗岳が、いずれも夏山らしい姿を見せていました。

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 上高地バスターミナルの奥にある「山の祈り」碑です。尾崎喜八の詩が刻まれています。
   流転の世界  必滅の人生に  成敗はともあれ  人が傾けて
    悔いることなき   その純粋な  愛と意欲の美しさ

 ここはひっそりしていて訪れる人も少ない所ですが、学生時代から上高地に来た時は必ずここに立寄って、山の遭難者を哀悼してから帰ることにしています。今年も元気で上高地に来れたことにも感謝して…。