この秋、地元で出会った植物たちの一部をピックアップして、「当尾(山)の秋」と「加茂(里)の秋」として月別フォトアルバムとは別にして、ブログ記事として取り上げてみました。その後も、ウォーキング等で近畿一円に足を伸ばした時にも、秋を感じる植物たちがまだまだ見受けられました。そこで、今回は当地のものも含めて「近畿の秋」として続編的にとりまとめてみました。ちなみに当ブログでは、関西2府4県を指すときは「関西」、これに三重県を含めた時には「近畿」と呼ぶよう、私なりの区分けをしています。

★近畿の秋の植物たち

 独断と偏見で、私なりに秋を感じさせてくれた植物たちを、アイウエオ順にピックアップしてみました。

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 アキチョウジ(秋丁子、秋丁字)

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 アケボノソウ(曙草)

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 オハラメアザミ(大原女薊)。京都の鞍馬から大原への山歩き中に出会いました。当初、アズマヤマアザミ(東山薊)と思っていたのですが、アズマヤマアザミの変種であるオハラメアザミとわかりました。まさにご当地植物でした。

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 カエンダケ(火炎茸)。 秋と云えばキノコ。でもキノコは良くわからないので殆ど無視する私ですが、最も記憶に残ったのがこのキノコです。その鮮やかな赤色はまるで火炎のようです。猛毒です。ふつう毒キノコと云っても触るだけなら問題ありませんが、これは皮膚刺激性があるので、触るのも危険です。

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 カリガネソウ(雁草、雁金草)。

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 カワチブシ(河内附子)。 トリカブトの一種です。

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 コウヤボウキ(高野箒)

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 コシアブラ(漉油) の葉。 レモンイエローの素敵な黄葉になる前でしょうか、葉は黄色くなってきたのに、葉脈だけがまだクッキリと緑色を残していた珍しい姿でした。

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 サラシナショウマ(晒菜升麻)

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 シュウブンソウ(秋分草)。 秋分の日の頃に花を咲かせることから名づけられたそうですが、名前以外には特に季節を感じさせるものはなさそうです。

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 センブリ(千振)

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 タコノアシ(蛸の足)。 近畿のRDB(レッドデータ)状況…京都府:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県・三重県・和歌山県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府・兵庫県:準絶滅危惧種。

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 タニジャコウソウ(谷麝香草)。 近畿のRDB(レッドデータ)状況…京都府:絶滅、兵庫県:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県・三重県・和歌山県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府:準絶滅危惧種。

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 ツルリンドウ(蔓竜胆)。 あちこちの山で出会いましたが、この花にはいつも心が癒されます。

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 ツルリンドウの赤い実が出来つつあります。

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 ツルニンジン(蔓人参)。花冠が落ちたあとの萼片のついたさく果です。

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 ナギナタコウジュ(薙刀香薷

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  ネナシカズラ(根無葛)。小さな花が一斉に開花です。

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 ネナシカズラの花の後の種子です。この種子がこぼれ落ちて、翌年に芽を出し、直ぐに寄主植物に寄生すると、根が枯れてなくなってしまいます。

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 こちらは帰化植物の アメリカネナシカズラ(亜米利加根無葛。 こちらも花が咲いていました。

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 開花してすぐ実になるナツグミやアキグミと違って、これから一冬越して翌年の苗代(5月)頃に赤く熟す ナワシログミ(苗代茱萸

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 ノダケ(野竹)

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  フシグロ(節黒)。葉が紅葉していて、仲々ステキでした。花弁・舷部の長さは、僅か2~3mmという小さな花です。

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 フユイチゴ(冬苺)。 いつも果実が出来てから気付くことが多いので、今年はどうしても花の写真が撮りたくて、遅ればせながらやっと見つけた一花です。

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 山はフユイチゴの果実でいっぱい。もう秋から冬へと先行しています。

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  マツカゼソウ(松風草)。秋風に揺れる姿が名前の由来です。

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 ミカエリソウ(見返草)

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 ヤブタバコ(藪煙草)

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  リンドウ(竜胆)。このブルーがなんともいえません。

 こうして改めて整理してみますと、秋の山野草たちは、春や夏の花のような華やかさはありませんが、どこか愁いに満ちた風情を感じさせてくれます。

★おまけ:秋を感じさせてくれた虫たち

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 ルリタテハ(蝶) の幼虫。 ルリタテハはユリ科の植物を食草にしていますので、いつの間にか我が家のホトトギスとオニユリに卵を産み付けていました。気付いた時には、5~6匹が無心に葉を食べていました。夏にオニユリが咲いた後も抜かずにそのまま置いていたのが、ルリタテハのお役にたっていたようです。ルリタテハは、オオムラサキなどのように幼虫で越冬するのではなく、成虫(蝶)になって越冬します。いずれもここで蛹になり孵化して飛んで行ってしまいました。元気に冬をこしてね。

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 コガタスズメバチ を襲う オオスズメバチ。 山に入る手前で、大きなスズメバチ同士がもつれあうように目の前の路上に落下して来ました。必死の攻防が続けられ、最後には写真下のオオスズメバチが上のコガタスズメバチを捕捉したまま飛び去っていきました。帰宅後、調べてみますと「オオスズメバチは、コガネムシや大型の鱗翅類の幼虫、カミキリムシやカマキリなども狩りますが,こうした昆虫が少なくなる秋口には、他のスズメバチやミツバチを襲うようになります」とのことでした。とすると、これも秋にしか見られない光景の一つでした。

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 ウスタビガ の繭(まゆ)。過去にも何度か取り上げていますが、やはり、これは秋から冬の風物詩ですね。葉が落ちた樹木の枝に緑色をしてぶら下っていますから、どうしても目に付きます。ウスタビガは10 ~11月頃には羽化してしまいますので冬に見られる繭は空っぽです。この繭も下に穴が開いていましたので、もう羽化した後だったのでしょう。山の冬はもうすぐです。