山道を歩いていると一風(ひとかぜ)ごとに、サラサラッとクヌギなどの黄葉が頭上を舞いながら落ちてきます。そしてカサカサッと小さな音と共に地上に積み重なった先輩落ち葉の上に身を横たえていきます。まさに「葉っぱのフレディ~いのちの旅」の世界です。ここ当尾も12月に入り、冬支度が忙しくなってきました。前回の「当尾の晩秋Ⅱ」以降に出会った植物の幾つかと、葉っぱのフレディたちの最終幕を取り上げてみました。

★コナアカミゴケ(粉赤実苔) 

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 ムムムッ!なんじゃこれは!先っぽの赤い色がなんとも毒々しい感じがして、思わず目が止まってしまいました。とりあえず写真に収めて、帰宅して調べて見ましたところ、どうやらコナアカミゴケで間違いないようです。
 ネットでの情報によりますと、 ”苔(コケ)と云う名前が付いていますが、苔ではなく地衣類(ちいるい)で、植物ではなくて菌類だそうです。低山から高山地帯までの腐朽木や腐植土のある岩上地上に生育する樹状地衣です。粉芽に覆われた長さ1~3センチの子柄の先に赤い子器をつけます。日本では約1200種あるそうです。ただ、大気汚染や環境の変化に弱い種類が多く、大都市の周辺からは急速に消滅しているとか。ある意味、環境のバロメーターとなるものです” と載っていました。

 毒々しい色に惑わされて、悪者扱いしてしまったのですが、キレイな環境の下でしか育たず、土壌作りにも役立っている良い子だったみたいです。

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 それにしても、この赤色はやはり強烈です。

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 花はもう殆ど見られなくなりました。僅かに日当たりの良さそうなところで、タンポポやオオイヌノフグリ(写真)がチラホラと咲いています。

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 ヤツデ。

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 ジャノヒゲ。別名:リュウノヒゲ。

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 今頃になってもまだ緑色のヒヨドリジョウゴの実。赤くなれないまま枯れてしまうのかな。

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 キヅタ。赤く紅葉するツタ(ナツヅタ)と違ってこちらは常緑のままです。果実は徐々に黒くなっていきます。

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 こちらは最近まで花を咲かせていたシロダモ。この葉に虫こぶが出来ていました。シロダモハコブフシと云って、シロダモタマバエの幼虫がこのまま越冬します。

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 前回「当尾の晩秋Ⅱ」でご紹介した当地特産品の当尾牛蒡(トウノゴボウ)が、とある農家で売られていました。

★黄葉・紅葉

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 ススキ。

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 アオモジの黄葉。

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 落葉寸前のアオモジの枝先には、来春の花芽(蕾)が既に待機中。

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 雑木林の黄葉の主役・クヌギ。

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 クヌギ落葉。朽ちて土に返り、養分としてまた新しい生命を潤すことになります。

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 コマユミの紅葉。

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 ナンテンの葉も紅葉します。

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 こちらは紅葉じゃなくて、見事な黄葉を見せるモミジ。

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 黒松とモミジのコラボレーション(当尾・浄瑠璃寺にて)。

★モミジ落葉

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 モミジのある傍は、いたる所に地面に素敵な錦絵模様が…。

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 浄瑠璃寺・山門近く。

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 12月になり、訪れる人もめっきり少なくなった当尾。山道脇の無名・双仏石に飾られた一輪のサザンカ。誰もいないはずの寒々とした山中に、ふと人の気配が感じられた晩秋の一時(ひととき)でした。