2月の例会ウォークは高円山登山です。高円山は、昭和35年から毎夏、終戦記念日である8/15に戦没者の慰霊祭として「大文字送り火」が行われ、冬の「若草山焼き」と照応して、古都・奈良の夏の風物詩として親しまれています。山麓には聖武天皇の皇子・志貴親王(しきしんのう)の邸宅を寺にしたと伝えられる、五色椿や萩で有名な白毫寺(びゃくごうじ)があります。この山一帯は高円の野として、聖武天皇の離宮・尾上宮(おのうえのみや)があり、遊猟を楽しまれた所でもありました。
★相楽健康ウォーク 「奈良大文字山(高円山)」 2/1
本日の集合地(スタート地点)は興福寺・五重塔ですが、私はJR奈良駅から歩きはじめましたので、JR奈良駅が実質のスタート地点です。今日は気温も上昇するとの予報で、朝の爽やかな空気に気持ちよく触れながら、三条通りを東に興福寺に向かいます。
興福寺境内に入り、五重塔(国宝)が見えてくると、もうかなりの人が集まっていました。本日の出席者は60人強でした。受付・準備体操を終えウォーク・再スタートです。
猿沢池、浮御堂、高畑界隈を通り過ぎ、柳生街道・滝坂道に入り、能登川の小橋を過ぎたところで柳生街道を離れ、南へ進路を取ります。白毫寺の裏手、奈良市設の寺山霊苑を更に200mほど南に行ったところに高円山登山口があります。
細い山道なので見逃してしまいそうです。登山口には大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の万葉歌碑が建っています。
”ますらをの 高円山に迫(せ)めたれば 里に下(お)り来る むささびぞこれ”
(現代訳:ご臣下の益荒男たちが、高円山からこの里にまで追いつめて、やっと捕らえましたムササビがこれでございます。どうかご覧下さい)
この歌は、聖武天皇が高円の野で狩をされた時に、天皇を喜ばせようと「狩で追いつめた獲物ですよ」と、前もってムササビを生け捕りにしていたのですが、残念ながら狩の前に死んでしまったので、大伴坂上郎女はあらかじめ準備していたムササビとこの歌を天皇に奏上することが出来なかった、そうです。
補足するまでもないのですが、大伴坂上郎女は、万葉集では額田王(ぬかたのおおきみ)と並ぶ代表的な女性歌人で、若き頃は聖武天皇に仕えていたのでした。
低い山ですが、意外と急峻なところもあります。今は落ち葉が積み重なっていますので、坂では足を滑らさないよう慎重に歩きます。
樹木のトンネルを抜けると一気に視界が広がりました。大文字の火床に到着です。眼下には奈良の市街が、遠くに生駒山が霞んで見えます。
火床に荷物を置き、身軽になって、更に上の三角点に向かいます。
高円山にある標高 432.2m の 2等三角点です。高円山の最高地点はこの東手を走る高円山ドライブウェイ(奈良奥山ドライブウェイ)沿いにある高円山ホテル付近なのですが、今回登山の目標到達点はこの三角点でしたので、三角点にタッチして、火床に引き返しました。
火床の展望の良いところを各自選んで、昼食となりました。 ここからの奈良市街の展望は若草山より良好で壮大です。
北方向には御蓋山(三笠山)、若草山がすぐ目の前です。
南西方向には、金剛山・葛城山・二上山が幻想的に浮かび上がっていました。
火床にある「奈良大文字送り火由来」の石碑。全員の記念写真を撮ったあと下山。東大寺に向かいます。
再び樹木のトンネルをくぐり、下山は柳生街道・滝坂道の紅葉橋方向に下ります。
柳生街道・滝坂道の脇を流れる渓流は、春日山原始林に源を発する能登川です。
春日山原始林内で見たシロシキブ(白式部)。ムラサキシキブの変異種ですが、実の付き方はコムラサキに似ています。左は昨年にできた果実、右は今年の花芽。 → (追記)最下段のコメント通り、「シロシキブ」でなく「イズセンリョウ」でした。訂正させていただきますと共に、ご教示いただきましたことにお礼申し上げます。
滝坂道を奈良市街方面に戻り、春日大社南参道から本殿に立寄ったあと、北に抜けます。
春日大社の境内北端、春日大社・摂社である水谷神社に架かる水谷橋を渡り、水谷茶屋を過ぎると若草山です。
南ゲート付近から見た若草山。先月半ばに山焼きが行われた直後なので、山肌が黒く焼け焦げています。今日は暖かいので鹿ものんびり日向ぼっこです。
東大寺・二月堂(国宝)。もうすぐ(2/12)「お水取り」です。
二月堂から大仏殿の裏(北側)を通りぬけます。
東大寺・戒壇院近くで最後の小休止。鹿たちが食べ物を求めて近寄ってきます。奈良県庁の前で例会は解散となり、各々、近鉄奈良駅やJR奈良駅へと戻りました。
コース概略:JR奈良駅(スタート)→興福寺・五重塔(集合)→猿沢池→浮御堂→志賀直哉旧居→親ろく地蔵→寺山霊苑→高円山登山口→火床→三角点→火床→柳生街道・滝坂道・紅葉橋→春日大社→東大寺→奈良県庁(解散)→近鉄奈良駅→三条通→JR奈良駅(ゴール)。 本日の歩程は 12.4km でした。
コメント
コメント一覧 (2)
京都の大文字火床には、上ったことがあるのですが、高円山
は、未体験です。
火床からの写真を見て、ぜひ行ってみたいと思いました。
ご紹介、ありがとうございました。
ところで、植物の写真に、「シロシキブ」とありますが、
もしかしたら、「イズセンリョウ」ではないでしょうか。
シロシキブは、落葉樹のはずですが。
ご覧頂き有難うございます。
また「イズセンリョウ」のご教示を頂き、有難うございました。
浅学の私は「イズセンリョウ」を知らず、てっきり「シロシキブ」と思っていました。元写真を拡大して図鑑等と照合させていただいたところ、間違いなくご指摘の通りでした。ブログの方も訂正させていただきました。改めてお礼申し上げます。
高円山からの眺望は予想以上にいいと思います。私は今まで遭遇したことは無いのですが、春日原生林、柳生街道・滝坂道、高円山一帯は、夏場にはヤマビルが多いそうです。その時期には注意されて歩かれますように。
今後ともよろしくお願いいたします。