不安定な天気が続いています。単に三寒四温の言葉通り、寒い・暖かいの繰り返しだけなら、まだよいのですが、晴れているのでウォーキングに出掛けたら、俄かに曇り出し、雨や小雪や霰(あられ)が頬を打ちます。そんな中、先日は比較的平地を 18km 歩き、翌日は友人と近くの山歩きに行きアップダウンを 18km 歩いて二日で 36km、さすがに山歩きの後は少し足が重くなりました。

 山や里を歩いていると、少し春を感じてきました。昔の人は、冬から春に移り行く様相を、順に ”春待つ → 春近し → 春隣(はるどなり)” と表現してきました。こうした旧暦の言い回しには、「自然と人の生活」との関係が微妙に現され・感じられて、いいものですね。そうした "春隣" の頃に出会った植物たちを取り上げて見ました。*今まで「フォトアルバム」にて「○年○月出会った植物たち」として月毎にまとめてきましたが(フォトアルバムを整理してみたく)、今年からはブログ記事本体で、印象に残った出会いを取り上げたいと思っています。

★昨年の名残りの植物たち

 年が変ってひと月半にもなりますが、野山にはまだまだ昨年の秋の名残りの植物たちがあちこちに見られます。

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 大きなキカラスウリがまだぶら下っていました。ウバユリ、ノアズキ、トキリマメはいずれも、もう種子は殆ど落ちて空(カラ)サヤばかりの中で、豆や種が残っていたものが僅かに見られました。

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 山道を通りかかるたびに気になっていたテイカカズラの果実。ようやく開裂し ”長い綿毛をまとった種子” のパラシュート部隊が飛び立っていました。

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 茶色いキリタンポのようだったガマの穂も開裂し、綿毛が飛び出てきました。古代には、この穂綿が布団にも用いられたようです。

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 種子が落ちても、可愛い姿をとどめていたタツナミソウ

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 ウスタビガヤママユガの空繭(からまゆ)。写真上段はまだ樹木に取り付いているもの、写真下段は地上に落ちたもの。山道のいたる所で見られました。 

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 山道をはずれて山林内に入ると、冬場のエサとして食べられた樹皮、オスが角を木にこすりつけて樹皮を剥いだ跡、落ち葉の上にはまだ新しい糞など、あちこちでニホンジガ(日本鹿)の痕跡が見られましたが、鹿の姿自体は見ることが出来ませんでした。ニホンザル(日本猿)には何度か出会いました。ただ隠れるのも早く写真は撮れませんでした。キーッ、キーッと甲高い鳴き声で仲間に警戒を呼びかけていました。

★春隣の植物たち

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 当地では多く見られるダイオウショウ(大王松)。常緑樹なので”春隣”とは全く関係ないのですが、長い三本葉の松葉、蛇のウロコのような枝の樹皮など、よく目立ちます。農家の庭先だけでなく、山麓にも結構植えられています。

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 まだまだ寒い山中、イワナシの赤い蕾が出てきました。ショウジョウバカマもロゼットの中心には花芽が顔を見せていました。

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 カンサイタンポポセイヨウタンポポも咲き出しています。シロバナタンポポがこの時期に咲いているのを見たのは初めてです。

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 当地のスミレでは一番開花が早かったタチツボスミレホトケノザの開花も増えてきました。

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 オオイヌノフグリはもう至る所で、小川や用水路の水の中ではオオカワヂシャが早くも花を咲かせていました。

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 園芸ものや栽培ものの植物には、正直、余り興味がわかないのですが、花の少ないこの時期はついつい目が行ってしまいます。

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 アセビは木によっては既に満開。サンシュユの開花はまだ少し先です。

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 花の内部が暗紫色のロウバイ(和蝋梅)、内部に現れる赤い輪を月に見立てたマンゲツロウバイ(満月蝋梅)、内部も黄一色のソシンロウバイ(素心蝋梅)など、いろいろなロウバイが、いい香りを漂わせています。

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 先週の2/8は旧暦の第二候「ウグイス鳴く」でした。この時期、当地ではウグイスは姿を見せてはいますが、まだ鳴いておらず、すぐに逃げてしまいますので、いまだに写真は撮れていません。ウォークから帰った我が家で待っていたのは、あの独り者のメジロ君でした。チーチュル、チーチュルとさえずって、新しいミカンの催促です。私にはウグイスよりもメジロ君の方がよほど美しく・可愛く感じられます。庭のマユミはもう殆ど実がなくなってしまいました。