前回ブログの最後に「関西では未だに春一番は観測されず、このまま春分の日を迎えそうです」と、記した翌日(3/18)に春一番が吹きました。関西では3年ぶりの春一番となりました。春分の日まであと2日でしたので、例えが的確ではありませんが、なにか9回2アウトまでノーヒット・ノーランを続けてきた投手が、記録達成目前にしてヒットを打たれた、と云う感じがしないわけでもありません。歳時記的には春一番があって良かったのですが、植物のほうは風が吹こうが吹くまいが、日増しにどんどん成長しています。

Haru_70b

 早くも花が終り、種子を持った ヤマネコノメソウ(山猫の目草)。カップのような子房の中の種子は、雨に流されて地面に散布されます(地中のムカゴでも増えます)。

Haru_70a

 これは猫の目と云うよりは、怒った妖怪の目のようでした。

Haru_713

 フキノトウも開花し、フキの葉も芽吹いてきました。芽生えの頃に黒い斑点(油点)をもつ特徴的な葉のホトトギス、可愛い花を咲かせるゲンノショウコも元気です。

Haru_724

 クサノウオの蕾も色づき、一番花ももうすぐです。スズメノヤリタチツボスミレヒメウズ…春ですね。

Haru_73_2

 フッキソウ(富貴草)。穂状に花序をつけ、花弁はなく、雄花はオシベが4本単位で花序の上部に多数つき、雌花は2本の花柱が花序の基部につきます。*この写真のフッキソウは自生ものではありません。

Haru_74

 樹木いっぱいに花を咲かせるシキミシキミの実は「毒物及び劇物取締法」という法律で、植物で唯一、劇物に指定されています。「悪しき実」が略されてシキミになったそうです。勿論、花も有毒です。

Haru_75

 山歩きをしていますと、なんとも言えない強烈な匂いがしてきます。ヒサカキの花の匂いです。白花以外にも紅色のものもあり、こちらはベニヒサカキとも呼ばれます。雌雄異株で、上2枚の写真は雄花、下・左側の写真がヒサカキの雌花です。下・右側の写真はサカキ(榊)です。どちらも神棚や仏壇に供えられますが、サカキが手に入らない所では、ヒサカキが使われます。榊(サカキ)でないので非榊(ヒサカキ)であるとか、榊より小さな花なので姫榊(ヒメサカキ)がなまってヒサカキとなった等の説があります。

Haru_76

 ウワミズザクラ(上溝桜)の新芽と花穂だと思います。以前、若い花穂と未熟の実を塩漬にしたものを頂いて食べたことがありました。新潟あたりでは「杏仁子(あんにんご)」と呼ばれる食物です。

Haru_78

 アサクラザンショウ(朝倉山椒)の新芽。羽状複葉の山椒の葉らしさが既に見られます。

 以下は、里山の行き帰りに見た民家等での植栽ものです。

Haru_79

 ジンチョウゲ各種ヒマラヤユキノシタ

Haru_80

 公園のユキヤナギ

Haru_81

 ネコヤナギも銀白色だった花穂が開いて来ました。

Haru_82_2

 レンギョウ(上)とシナレンギョウ(下)も良く見掛けました。

Haru_83

 黄色い花で、遠目ではレンギョウと見間違えそうなオウバイ(黄梅)。花弁が、レンギョウは4枚に対して、オウバイは5~6枚です。

Haru_84

 こちらはハクバイ(白梅)。梅も品種が多くてよく知りませんが、同じハクバイでも微妙に花芯の色が違います。芯が緑っぽい方(左)が、より白く見えました。

Haru_85c

 笹の葉が邪魔していますが ミツマタ の花。

Haru_86

 これって何でしょう? あえて、これを載せましたのは、「知らない花」も図鑑などで調べれば大体名前がわかるのですが、葉や蕾の状態、あるいは閉花後の姿や種子など、「花」以外のものから植物名を探そうとすると、わからないことが多いのです。そういう経験も多々あって、個人的には「花」だけでなく新芽や種子などの写真もわかる範囲で紹介するようにしています。
 上の写真の正解
は「ブラシノキ」の果実。昨年咲いた花のあとにこのような果実が出来ます。ネット上でブラシノキを検索しても、花の写真は数あれど、この姿にまで行き着くのはごく僅かです。

Haru_87

 カンサイタンポポの総苞片。西洋タンポポと日本タンポポとの違いは、開花したときのこの「総苞片の反りの有無でしたね。では、反らない日本タンポポの中で、関西タンポポと関東タンポポの違いはなんでしょうか。調べてみると関東タンポポには総苞片に突起状のものがあるが、関西タンポポには突起は殆どないとの説明が見受けられました。但し、2つを比べた写真なりイラストを掲載しているサイトは無しでした。現実には関西タンポポにも、写真のように総苞片に突起状が見られます。ならば、突起がどの程度違うのかを知りたいのですが、この地には関東タンポポはありませんので見比べようがありません。従って、私は関西にある日本タンポポは関西タンポポと勝手に決めています。関東タンポポの種を誰かが意図的にこの地に撒いて開花したとしても、多分、私はそれも関西タンポポだと思ってしまうでしょう。

 そろそろ里山歩きから、ちょっと遠くにウォーキングに行きたくなっています。