★森とふれあう市民の会 「纏向から上ツ道を往く」 10/26  

 年4回だけの当会の、今年最後の企画は、バラエティに富んだ所をいろいろ巡り歩きます。集合地はJR万葉まほろば線の「巻向(まきむく)駅」です。昔からの地名は「纏向(まきむく)」と難しい漢字ですが、JRの駅名は「巻向」とわかりやすい表示です。

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 巻向駅で、私の大好きな額田王の、肖像と和歌が描かれた「万葉ラッピング電車」に遭遇です。左の絵は柿本人麿だったと思いますが、顔が切れてしまいました。

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 纏向は、ヒミコの里と呼ばれ、箸墓古墳や纏向遺跡群が点在する、考古学ファンなら絶対見逃せない場所です。

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 巻向駅のすぐ近くにある柿本人麿公屋敷跡の石碑です。JR万葉まほろば沿線には人麿の遺跡が多々存在していて、ここに本人の屋敷が在ったかどうかは疑わしく、愛人の住居くらいはあったかも知れません、とは講師の弁でした。

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 纏向遺跡居館跡を2箇所ほど巡りました。向こうの小高い丘がヒミコの墓と云われる箸墓古墳です。

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 本日歩く上ツ道(かみつみち)など昔の奈良の古道図です。上ツ道は、現在の桜井市から奈良盆地東端を北上して(山の辺の道は更に山麓沿いの道です)、天理市までほぼ直線で結ばれ、天理市より北は、山の辺の道と合流して奈良公園の猿沢池に至る古道です。
 上ツ道沿いの辻酒造さんの古い酒蔵屋敷を見学し、大和社寺工営さんでは社寺建築・修復の話を聞きました。材木としては檜(ヒノキ)が最良ですが、同じ檜でも、木曽の檜は柔らかくて仏像彫刻などに、吉野の檜は硬いので建築に向いているとのことでした。古い寺院を修復された際に取り外された昔の釘を記念にいただきました。

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 上ツ道を北上し天理市に入り、長岳寺・五智堂を見学です。鎌倉時代後期の建造物(重文)で、その形から傘堂とも呼ばれます。真ん中に太い心柱があり、これによって建物のほとんどの重量が支えられているそうです。以前、葛城市で丸柱だけで建っていた傘堂を思い出しました。

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 <参考> これが葛城市で見た傘堂です。まさに傘にそっくりでした。昔の人は、どういう計算をしながら設計図を引き、このような建築物を製作したのでしょうか。

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 大和(おおやまと)神社に到着です。ここの会館・大広間を借りて昼食となりました。祭神は日本大国魂大神(やまとおおくにたまのおおかみ)です。神武天皇以来、宮中では天照(あまてらす)大神と日本大国魂大神の二神が同殿共床で祀られていましたが、第10代崇神天皇は神威を恐れ、天照大神は笠縫邑に(後に点々として最終的に伊勢神宮に遷座)、日本大国魂大神は市磯邑(当地)に移されました。

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 この神社の分霊が戦艦大和に祀られた事から、戦艦大和ゆかりの神社として、沖縄沖で戦死した2717名の英霊が末社・祖霊社に合祀されています。また資料室には、戦艦大和に関する模型や絵画なども展示されていました。

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 中川養魚場を見学です。ここは金魚の大養魚場です。

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 和金やコメットなどの金魚について、いろいろ話を伺いました。ちなみに、コメットは写真のように紅白色が基本色ですが、赤一色や白一色のものは、とても貴重で高価で取引されるそうです。

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 見学の最後には、希望者には大きなコメットのプレゼントがありましたが、まだウォーキングの途中でしたので、金魚を持って歩くのは大変なので遠慮しました。それでも15人程の人は大喜びで貰っていました。

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 広大な田んぼの真ん中に残るコンクリートの倉庫のようなものは防空壕跡です。ここ柳本は、太平洋戦争の末期に「大和海軍航空隊大和基地(通称:柳本飛行場)」として滑走路が引かれ、地下トンネルが掘られ、本土決戦の際の本拠地・大本営となるよう設計・建造されました。しかし、稼動する僅かな飛行機は特攻用に温存される状況の中で終戦を迎えました。

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 ウォークの最後は奈良県瓦センターを見学し、瓦製造体験をしました。

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 東大寺大仏殿の1.5mほどある鬼瓦や、家紋や寺院名入りの屋根瓦などが並んでいました。

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 最後にミニ鬼瓦の制作体験をして、お土産に持ち帰りました。でも1週間ほど乾燥させた後に焼かねばなりません。窯があるわけでもなく、思案していたら、「アルミホイールで包んでオーブンで焼くのが最も簡単だ」 と誰かが言ってました。それにしても大変なお土産をもらいました。ウォークはここで解散となり、帰り際にはスタッフの皆さんと「また来年お会いしましょう」「良いお年を!」など気の早い挨拶を交わしながら、ゴールのJR柳本駅へと向かいました。

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 コース概略:JR巻向駅(スタート)→柿本人麿公屋敷跡→纏向遺跡居館跡地→辻酒造→大和社寺工営→長岳寺五智堂→大和神社(昼食)→中川養魚場→柳本飛行場跡防空壕→奈良県瓦センター→JR柳本駅(ゴール)。本日の歩程 9.5km でした。