雨乞岳で出会った植物、その三(最終回)です。

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 ヒイロチャワンタケ(緋色茶碗茸)。ヒロネマキン科のキノコの一種。3年ぶりに出会いましたが、色と云い形と云い、格段に素晴らしいものでした。柄はなく、派手なオレンジ色が目を引きます。

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 群生している姿は、名前の通り、まるで赤い小さなお椀が並んでいるようです。

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 シロソウメンダケ(白素麺茸)?。山道脇に生えていて、登山者に踏まれたのか蹴られたのか、先がボロボロになっていました。白い棒状のキノコは、他にもシロヤリタケなどがありますが、先が黄色かったので、シロソウメンダケとしました。

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 キノコついでにもう一つ、クチベニタケ(口紅茸) です。クチベニタケ科のキノコの一種。これは雨乞岳ではなく、10/2京都・山科疎水ウォーク中に出会ったものです。日本ではそれほど珍しくもないキノコですが、世界的には珍種のようで、海外の研究者に見せると感激する人もいるそうです。頭部の頂はやや突出して星形に裂け、小孔を生じ、その縁が朱色になり「赤い唇」を想起するので、この名前があります。学名も Calostoma japonicum。Calostoma とは「美しい口」、japonicum は「日本の」という意味です。

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 切り立った土の崖などに発生します。丸い部分を軽く叩くと、口の先からボワーッと煙(胞子)が出ます。ツチグリなどと同じ生態です。口紅茸が胞子を吐く動画は → こちら

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 こちらは胞子を出し尽くしてしまい、大きく口を開けてしまった クチベニタケ。

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 さて、雨乞岳の植物に戻って、マンネンスギ(万年です。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属の常緑多年草。杉の葉のような枝が地表から直立します。群生している姿は、まるで箱庭の杉の木のようです。

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 背丈10-30cm程の山地の林床に見られるシダ植物で、茎の先端には胞子膿を付けていました。

Hikagenokazura

 こちらは、ヒカゲノカズラ(日陰鬘)の胞子膿。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属の多年草で、ツル性のシダ植物ですが、他の植物の上に這いのぼることはなく、地表を這いずり回っています。

Mamusigusa

 マムシグサ(蝮草)の果実。真っ赤なトウモロコシのような実はよく目立ちます。

Hoonoki

 ホオノキ(朴の木)の種子。モクレン科モクレン属の落葉樹。この時期、大きな葉や果実を落としていました。葉裏が白くて大きな葉は、飛騨名物・朴葉味噌に使われていて有名ですね。果実は袋果で、沢山の袋がついており、各袋に0 -2個の赤い大きな種子が入っています。

Yamaguri

 登り始めから下山するまで、全山、ヤマグリ(山栗) の小さな実が、足の踏み場もないほど落果していました。中には、動物たちに綺麗に中身を食べられたようなものも見られました。これだけの落果があれば、当面はこの山の動物たちの食糧も心配ないでしょう。 <明日に続く>