★山の会 もっと歩き隊 「釈迦ヶ岳」 11/3
釈迦ヶ岳は、奈良県吉野郡の十津川村と下北山村の境界にあり、大峯山系・最高峰の八経ヶ岳(八剣山)の南方に位置します。一帯は吉野熊野国立公園であり、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素の一つ「大峯奥駈道」のルート上にあたります。釈迦ヶ岳は、和歌山県の熊野本宮から奈良県の吉野までの総延長180kmにのぼる「大峯奥駆道」の丁度中間地点あたりに位置しています。
登山中に出会った ニホンジカ(日本鹿)の雄。学名は Cervus nippon。和名にも学名にも日本=nippon と付いていますが、日本固有種ではなく、東アジアからシベリアにかけて広く生息しています。国立公園内に住む「法に守られた動物」ですから、人間を怖がることもなく堂々と人間の前に出てきます。
当地を早朝5時に出発、途中で参集した総勢16名・車4台で大峰に向かいます。国道168号線から釈迦ヶ岳への山道に入ります。関電・奥吉野発電所までは舗装路ですが、そこから先は未舗装の落石が散乱する細い道を慎重に進み、8時20分、釈迦ヶ岳登山駐車場に到着です。駐車場横にある釈迦ヶ岳(大峯奥駆道)への登山口標識です。
9時過ぎ、上り坂から解放され尾根筋に出てきました。見通しのきくルートを歩くのは気持ちがいいです。
前方に見える釈迦ヶ岳(左)と、槍のような姿の大日岳(右)。両山を結ぶ鞍部には、大峯第38靡(なびき)「深仙の宿」~灌頂堂と深仙小屋~の2つの小屋が見えていました。
ひたすら釈迦を目指して尾根筋を歩きます。背丈の低い笹薮歩きは、視界も良くて快適な歩きが楽しめますが、笹薮に隠れた岩や木の根っ子に、思わず足を取られることがあります。
釈迦の手前のピーク「古田の森(1618m)」手前の登り‥
風が強く雲の流れが速いので、雲が途切れると一瞬、青空が広がります。
古田の森を過ぎ、小休止していると、目の前に立派な角を持つ日本鹿が現れました。
人目など全く気にせず、悠々とササ(笹)の葉を食べています。
釈迦の頂きが迫ってきました。あと一息です。
10時55分、釈迦ヶ岳・山頂(標高:1800m)に到達です。雲が湧き出し見通しは余りききません。
釈迦ヶ岳山頂の建造物。左は大峯修験道・第40靡(なびき)を示す錫杖と、数少ない一等三角点の標識(点名:釈迦ヶ岳、標高1799.9m)。右は釈迦如来銅像。「鬼マサ」の異名で知られた大峰開山以来の一番の強力(ごうりき)岡田雅行さんが、大正13年に、この像を三分割して一人で山頂に担ぎ上げたそうです。三分割されたとは云え、釈迦像の台座だけでも135kgはあったと云われていますから、担ぐ鬼マサさんの顔も、すさまじい鬼の形相だったことでしょう。
山頂滞在もそこそこに、予定を変更し、先ほど大日岳の鞍部に見えた「深仙の宿」まで足を延ばすことになりました。ここからは峻険な岩場のアップダウンが続く難所道です。ロープや鎖場が多く、風も強くて、一気にペースダウンです。前方に孔雀岳や仏生嶽が見え隠れしています。
約1時間ほど進んだ所で、厳しい修験道を一旦離れ樹林帯に入ります。ここで、後ろから追いついてきた単独行の女性に道筋を確認すると、完全にコース間違いであること(弥山に向かう道であること)が判明、引き返すことになりました。この女性は、山仲間では有名なルネさんと云う人でした(写真右下のブルーの服装の女性)。
丁度、時間も正午でしたのでに、引き返す前に、強風を避けて昼食をとり(左上)、再び釈迦ヶ岳へと引き返します。13時、釈迦ヶ岳・山頂に到着。もう「深仙の宿」には行かず、そのまま、朝来た道へと戻りました。
下山時に見た日本鹿。多分、登りの時に見た鹿と同じだと思います。「お前、まだこんなところにいるのか」と見ていたら、鹿の方も「お前らこそ、いつまでウロウロしてるんや」と、胡散臭い目付きで、通り過ぎる私達を見送ってくれました。14時45分、登山口駐車場に戻ってきました。
釈迦ヶ岳往復登山の本日の歩程は 10.3km、所要時間 6時間25分(休憩含む) でした。
追記1:今回の山行中に、不覚にも岩場で滑って転倒。足腰と後頭部を岩にぶつけて負傷してしまいました。頭の方は出血も少なく意識もはっきりしていましたので、無事下山出来ましたが、翌朝かかりつけの病院へ行き、脳神経外科を受診。後頭部の外傷も浅く、外見的には問題ないとのことでしたが、脳内部に異常があるかどうかは、しばらく様子を見ることになりました。懸念されるのは「慢性硬膜下血腫」と云う脳の表面に徐々に血液がたまってくる疾患で、打撲後、数週間から数か月後に、記憶力や意識の低下、片半身のしびれや麻痺が出てくる可能性があるとのことでした。特に高齢者やアルコールをよく飲む人は注意が必要と言われました。来月に再診し精密検査をしてもらうつもりですが、しばらくは大事を取って山登りは自粛、近郊の低山歩き程度にとどめ、アルコールも当面はほどほどにするつもりです。
追記2:私たちが釈迦ヶ岳に登った日(11/3)の3日後(11/6)に、NHKグレートトラバース2の田中陽希君が釈迦ヶ岳に登られました。比良の武奈ヶ岳にも、先月私たちが登った後に登頂されました。釈迦ヶ岳も武奈ヶ岳も日本二百名山の一つで、陽希君は今関西の山々を巡っている最中です。ちょっとの差で会えず、直接声援を送ってあげることが出来ず、返す返す残念でした。予定では、今日(11/9)は金剛山に挑戦されるはずです。金剛に行きたいけど、登山は控えざるを得ません。
コメント
コメント一覧 (8)
頭部打撲は心配ですね。お大事にしてください。
イヤ~怖いですね。全員ベテランの方でしょ。コース間違いって起こるんですね。
負傷されたとのこと、お見舞い申し上げます。大事にならないよう祈ってます。
この近辺の里山歩きでも最近はヘルメットが必要か、と気になる場面があります。楢枯れで太い枝などが落ちていたり、途中の枝や樹冠に引っ掛かっていたりと・・・。温暖化のためか今年は何とマダニにやられて、皮膚科に夏前2度、今月も1度かかりました。
コメント有難うございます。
仰る通り、ルネさんに会わなければ、まだ進んでいたかもしれません。この先の弥山(みせん)まで、まだ7時間はかかるそうですから、早くUターン出来て正解でした。
ご心配頂き有難うございます。頭の方は今も少し痛むときもありますので、大事をとっています。来月になれば詳しい検査も可能なようなので受診する予定です。
コメント有難うございます。
頂上から、あの道に入る時には「←弥山」と云う方向標識があったのですが、途中に「大日」もしくは「深仙の宿」方向への分岐点があるものと皆な思っていました。やはり地図と照らし合わせて方向を確認しないといけませんね。
大峯奥駆道でも有数の難所(岩場)を通ったと云う、いい経験は出来ました。
コメント有難うございます。
確かに、仰るように「例会など背中を押してくれる機会」が多々ありますので、一気に登山が増えました。一人のままでは年に数回だったかもしれません。脚力だけは、ある程度自信はあったのですが、滑って転倒したのは、バランス感覚や瞬間的な反応力が低下している証拠でした。今後は、歳も考えて無理せず慎重に参加するつもりです。
当地でマダニに3回もやられたのですか。怖いですね。藪漕ぎも気を付けねばなりませんね。
コメント有難うございます。
お久しぶりです。多忙だったようですね。お疲れが出ていなければ良いのですが‥。小生は相変わらず登山やウォーキングを楽しんでいますが、今回の山行では、不覚にも負傷してしまいました。大事をとって当面は低山ないし町歩きに限定しようと思っています。田牧会の段取りが出来ずすみません。京都へ出てこられてお時間のある時に嵯峨野か東山界隈でも歩きましょうか。