★木津川 山の会1月例会 「三上山」 1/10
「棚倉村(現・木津川市山城町)の奥に 崩れ禿山あり。山、こうこうと白く雪の降りたる如く、河港埋むる元素なり」 と、江戸時代の砂防技師・市川義方が記しているのが、現在の 三上山(さんじょうさん、さんじょうやま)です。この時代の山々は三上山に限らず、木津川流域の山々は花崗岩が剥き出しの裸山でした。神戸の六甲山なども明治初期の写真を見ると全くの裸山です。とにかく大昔から江戸時代まで、集落近くの山は、建築用材から煮炊き用の薪にいたるまで、日々の生活には木が欠かせませんでしたから、長年のうちに、樹木はすべて伐り出されて、裸山になっていました。大雨が降るたびに土砂崩れや水害が発生し、木津川は土砂に埋まり、当時の交通手段であった舟も舟底がつかえて、通行出来なくなると云う状態を繰り返していました。明治時代に来日したオランダ人技師ヨハネス・デ・レーケが堰提を造り、山に植林するなど、砂防事業を進めた結果、各地の山は緑を取り戻し、土砂崩れや水害も減少しました。
さて、山の会の今年の初登りは、その三上山に登ります。ちなみに、同じ山名で、近江富士の愛称で親しまれる滋賀県の野洲市にある三上山は、「みかみやま」と呼びます。
9時15分、JR加茂駅に会員39名が集合。今回の登山は、加茂町の方から三上山を目指し、山城町の棚倉へ下りて、更に木津町まで歩きます。現在の木津川市を構成している旧3町を巡り歩くことなります。木津川の恭仁(くに)大橋を渡り、恭仁宮跡の 国分寺跡 から見た三上山です(写真前方2つのピークの左奥の山)。私にとっては昨秋9月以来、4か月ぶりの三上山登山となります。
加茂神社の手前から海住山寺(かいじゅうせんじ)への山道に入ります。海住山寺を経由して山城森林公園への道を辿りますが、私は裏道を一人先回りしました。尾根筋で10分程休憩して待っていると皆さんが登ってきましたので合流しました。三上山へは海住山寺の山を越えて、一旦、谷(鳴子川)に降りたあと、再び三上山へ登り返します。
鳴子川を渡渉すると、森林公園から伸びてくる三上山登山道に合流します。しばらくは道なりです。
三上山登頂ルートは色々あります。急坂だが直登ルートとなる「冒険の道」を歩くグループ、距離は長いが緩やかで簡易舗装された良い道を歩くグループなどに各々分かれて、山頂を目指します。
11時40分、三上山・頂上に到着。既に到着しているグループや、まだ到着していないグループもありましたが、ここで昼食タイムです。頂上は風が強くて肌寒く、風から逃れるようにして食事をとりました。
山頂展望台(右)と3等三角点(左:標高473.3m)です。三上山は木津川市の山では最高峰で、頂上からは360度のパノラマ風景が楽しめます。立派な展望台ですが、手摺の高さが目の位置と合っていないので、隙間から覗き見るようになることもあり、登山者には余り評判は良くない作り方です。
北は京都市方面、西南には生駒・金剛山系などが見渡せますが、写真は東方の童仙房方面の眺望で、和束町の湯谷山や鷲峰山(じゅぶせん:京都では数少ない1等三角点がある山)、南山城村・童仙房の三ヶ岳(みつがたけ)などです。
山頂からは「かいがけの道」を下ります。今までの経験から、この道は砂礫が多く、岩も所々に露出していますので、滑ると危険性が高いので、頭をうって経過観察中の私は別の道で下りるつもりでしたが、余り勝手な行動も良くないと思い直し、皆さんと行動を共にして慎重に下りました。砂礫の上に落ち葉が積もっていますので、気を抜くとズルズルっと滑り落ちそうです。
ようやく急坂から解放されて尾根筋を歩きます。
山道の傍らでは、コバノミツバツツジ(小葉三葉躑躅) が早くも開花していました。
三上山頂上から約1時間30分強で、JR棚倉駅に下りてきました。駅前にある湧出宮です。ここで一部解散となり、JRで帰途につく組と、更に木津まで歩く組に分かれました。
椿井(つばい)大塚山古墳。3世紀末の築造ですので、最古級の古墳で、山城地方最大の前方後円墳ですが、前方部は民有地となって古墳の上に民家が建てられています。後円部の墳丘と民家との間にJR奈良線が横切っていて、昭和28年(1953)に、国鉄奈良線の拡幅工事の際に竪穴式石室が偶然発見され、ここが古墳であったことが判明し、三角縁神獣鏡が32面も出土して(当時日本最多の出土数)、日本中の考古学者たちを驚かせました。被葬者は不明ですが、墳丘上からは木津川が見下ろせますので、船舶の管理者とか、津(港)の管掌者などの豪族ではなかったかと推測されています。三角縁神獣鏡は卑弥呼(ヒミコ)の鏡とも云われていて、中国からの交易船が大阪湾から淀川・木津川をさかのぼって大和王権へ三角縁神獣鏡を貢ぎ物として運んでいた可能性などが考えられます。
途中、山城の茶屋問屋街を通り、泉橋寺の日本一大きな地蔵菩薩石像(高さ4.58m)などを見学。
木津川に架かるこの泉大橋(国道24号線)を渡ると、ゴールも間近です。15時30分、JR木津駅に到着し解散となりました。本日の歩程 17.3km でした。
コメント
コメント一覧 (7)
ため息が出そうです。
コバノミツバツツジの花も早いようですね。
ズルズル滑る山道、考えただけでも身が引き締まります。今まで有馬富士の下りの岩場で2回ほど滑ってます、幸い無事でしたが・・・。背骨のボルトが折れたらもう終わり、あとはベッドで寝たきりと言われてます(-_-;)。。
コメント有難うございます。
自分の適性にあったものが、好きな趣味になったり、好きなスポーツになるのでしょうね。歩くことが昔から好きでしたから、タイムや得点を競わない登山は、小生にはピッタリなんだと思います。
コバノミツバツツジが、まとまって咲いていたのは、この時期初めて見ました。
コメント有難うございます。
小生も11月に頭を岩にぶつけていて、今は経過観察中の身ですから、次に転んで頭をうつと、どうなるかわからないので、慎重を期しています。
KOZAK様も、無理をせず徐々に身体を慣らしていって下さいね。
コメント有難うございます。
木津川山の会は、昔は年に何回か一般者も参加出来る企画がありましたが、今は会員だけで活動している山の同好会です。毎月1回、日帰りの定例会があり、近畿一円の山々を歩いています。夏には宿泊企画があり、北アルプスなどに行っています。現在会員数は80名強、実際の例会参加者は平均30名前後です。4月-3月の年度制です。更にご興味がおありでしたらお知らせください。
早速のお返事、ありがとうございます。
一般の参加ができるなら、都合のつくときに参加させていただこうかと思ったのですが...
私は、若いころは山も歩いていたのですが、今は長い距離のウォーキングを主にしていて、時には山歩きもするという程度なので、会員にしていただくほどでは無いと思います。