奈良のブロ友さんの記事を見ていたら「キヌガサタケ」が掲載されていました。ウォーク中に幸運にも出会ったそうです。私も、この時期、キヌガサタケに会いたくて、2回ほどチャレンジしましたが空振りばかりです。当地でも、過去には何度か出会っっているのですが、出現の時期が予測不能で、朝に出現して、僅か半日で昼過ぎには、美しい姿は朽ち果ててしまいます。天候状態を見定め、経験上、出現するであろう場所に見当をつけて歩いているのですが、ヒットする確率は殆どゼロです。今日も出会うことが出来ず、むなしく帰途につく途中、藪陰にチラッと花が見えたような気がしました。もしや‥と思って足を引き返し、確認したら予想通り、ササユリでした。当地では昔に比べてササユリは随分減ってしまい、もう人目に付かぬ隠れた場所で細々と生き伸びている状態です。この場所で見たのは初めてでした。

★ササユリ2016 第1回 

 ササユリ(笹百合)。ユリ科ユリ属の多年草で日本固有種。学名も Lilium japonicum (日本のゆり)、まさに日本を代表するユリです。ユリの原種は世界で100種ほどあり、日本では15種、うち7種が日本特産種です。日本のユリの美しさは世界の百合マニアの垂涎の的で、ササユリやヤマユリが世界に持ち出されて改良され、園芸品種が次々に作り出されています。オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる百合たちがそうです。でも、純粋のササユリやヤマユリの美しさは、やはり世界一です。

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 カラフルな大輪を幾つも並べて咲き誇る外国のユリとは一味も二味も違います。山中でポツンと一輪咲くササユリ。清楚に孤高にたたずむ姿は、山野草の女王と呼んでもおかしくありません。

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 細長い笹のような葉がとても美しいです。笹の葉によく似ているのが名前の由来です。笹に擬態している訳ではないのでしょうが、実際、笹と混生していると、花が咲くまで分かりません。

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 花色は、ここでは殆ど白色でした。

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 この日は、もう1ヵ所新しい場所でもササユリを確認することが出来ました。山道から見上げるような高い場所の藪笹の中で咲いていました。近寄ることも出来ず、横顔だけを楽しみました。ササユリは、カタクリ同様に発芽してから花が咲くまで8年近くかかります。樹木や下草が繁栄したり、適度な日照がなくなると、成長出来ません。昔は炭や薪を取るために、里山は手入れされ、ササユリも成長出来ました。今は里山は放置されて荒れ放題です。ササユリが生息する条件が失われ、減少一途の道を辿っています。それに輪を掛けて盗掘されますので、絶滅は目に見えています。希少な山野草に対する人的保護とマナー向上が問われています。「花の命は短くて」なので、今年は更に、あと3ヵ所ほど各地のササユリを訪ねる予定です。

・その他の花

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 ハナウド(花独活)。セり科ハナウド属の多年草。関東以西の山野の湿った場所に自生します。

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 茎の高さは1-2mにもなり、花期には直径 20cm 強の大型の複散形花序を付けますので目立ちます。

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 セリ科の植物は、どれも原則、白色の複散形花序を付けますので、同定が難しいです。このハナウドも、シシウドなどの大型セリ科の花と似通っていますが、中央部の5弁の花びらはどれも同じ大きさですが、外側の花は1弁ないし数弁が大きくなり、更に花弁の先端が2裂すると云う特徴があり、他の仲間との見分けポイントとなっています。

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 シライトソウ(白糸草)。ユリ科シライトソウ属の多年草。当地周辺の市町村では幾度となく出会ったことがある、このシライトソウですが、まだ当地区では出会ったことがありませんでしたので、嬉しい初出会いとなりました。やはり、四季折々、隈から隅まで歩かないと出会えない花がまだまだあることを実感しました。

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 山の切り崩し面に貼り付くように、一面に小さな花を咲かせていていた ツルアリドオシ(蔓蟻通し)。アカネ科ツルアリドオシ属の常緑多年草です。

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 小さな白い花はとても可愛らしく、花冠は漏斗状になって長さ10mm、先端は4裂し、裂片は大きく開き、裂片の内側には毛が生えています。花は必ず2個セットで咲きますが、各々の花の基部にある子房は互いに合着しています。

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 花は2つですが、子房は1つなので、出来る果実は1つだけです。秋に真っ赤に色付いた小さな実はとても美しいです。実をアップで見ますと、2つの花の萼痕が表面に残っています。