近くの里山などで散策中に出会った植物たちです。
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ツチアケビ(土木通)。ラン科ツチアケビ属の多年草。日本固有種。葉緑素を持たない腐生植物(菌従属栄養植物)なので、光合成は行わず葉はありません。全国の落葉樹林帯の林床に生えます。花期は6月で、花茎は50cmから長いものは80cm程にもなります。花茎は黄褐色で、花茎から枝を出して複総状花序となり、枝の先端に花を咲かせます。花は3cm近くにもなる、かなり大形の黄色い花を咲かせます。別名はヤマシャクジョウ(山錫杖)。
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時節柄、退院したら何よりも観察に行きたい2つの植物がありました。ツチアケビとササユリです。ツチアケビを先行したら、まだ蕾状態だったので、ササユリ観察後に再度別の場所に行ってみると、丁度開花していました。
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美しい花・不思議な花が多いラン科の中でも、ツチアケビは特別好奇心をそそられる花です。この可愛い花が、秋には真っ赤なソーセージのような果実に変身するのですから、好奇心を持つなと云うほうが無理です。
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ツチアケビは、全国19都府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥京都府・奈良県:準絶滅危惧種 となっています。
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ギンリョウソウ(銀竜草)。ツツジ科ギンリョウソウ属の多年草。全国の山地のやや湿り気のある場所に生えます。花期は地域や場所によって差があり、4-8月頃で、地下から花茎を伸ばし、最大約15cmほどまで伸びます。
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ギンリョウソウもツチアケビ同様に、菌類から栄養を奪って生きている「菌従属栄養植物」なので光合成は行わず、色素はなく全体が透けた白色ですが、花が咲くと柱頭は淡い青色を帯びてきます。茎には鱗片状の葉を多数つけています。ギンリョウソウは、全国2県(千葉・鹿児島)で絶滅危惧種に登録されています。
★某植物園で見た、希少な植物を幾つか
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ミヤコジマソウ(宮古島草)。キツネノマゴ科ミヤコジマソウ属の多年草。沖縄の宮古島周辺の海岸付近の石灰岩上などに生えます。朝咲いていた花は昼頃には萎んでしまう1日花で、花弁は白色で、オシベは4個、メシベは1個で、よく見ると赤紫の脈と黄色の斑点があります。
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ミヤコジマソウは、環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠA類(CR)で、沖縄県:絶滅危惧Ⅰ類 です。*絶滅危惧ⅠA類(CR)とは、レッドデータの最高ランクで「ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」を云う。
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カセンソウ(歌仙草)。キク科オグルマ属の多年草。全国の日当たりのよい山野の湿った草原、湿地などに生えます。花期は7-9月。背丈60-80cmほどで、茎の上部が分枝し、その先に頭上花序を1個付けます。頭花は黄色で、径3.5-4cm、舌状花・筒状花ともに結実します。
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カセンソウは、全国26都府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥大阪府・奈良県・三重県:絶滅、滋賀県:絶滅危惧Ⅰ類、京都府・兵庫県・和歌山県:絶滅危惧Ⅱ類 となっています。
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ハマナデシコ(浜撫子)。ナデシコ科ナデシコ属の多年草。日本固有種別名:フジナデシコ(藤撫子)。本州以南の海岸の岩礫地や砂浜に生えます。花期は7-10月で、花は茎頂に集まって付き、花色は紅紫色で直径約1.5cmほどで、密につきます。
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ハマナデシコは、全国12府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥京都府:絶滅危惧Ⅱ類、滋賀県:要注目種となっています(京都府のレッド・データ・ブックには ”主な生育地は太平洋岸であり、日本海側に分布するもの=新潟・富山・石川・福井・滋賀・京都・島根=は個体数も少なく、学術的な価値が高く、高いランクで指定されている” と記されています)。
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ハマギク(浜菊)。キク科ハマギク属の多年草。日本固有種。日本原産の野菊の一種で最も大きな花をつけます。茨城県から青森県までの太平洋岸に生えます。葉は互生し、へら形で肉厚、光沢があり、海岸植物の特徴がみられます。頭花は直径6〜8cmで、白い舌状花と黄色い筒状花からなります。株が古くなると木のような質感になり、直径も10cm近くになるため、ハマギクは同様の形態を持つコウヤボウキと共に木(亜低木)として分類されることもあります。ハマギクは、茨城県で絶滅危惧Ⅱ類 となっています。