7月に出会った山野草たちです。投稿が全般的に遅れていますので、現在の週2回(水曜日と土曜日)投稿を、8月に限っては3日毎の投稿に(8/3→8/6→8/9→のように)変更させていただきますのでご了承下さい。
ヤマユリ(山百合)。ユリ科ユリ属の多年草。日本固有種。主たる自生地は関東地方ですが、分布的には近畿地方以北に自生します。山地の林縁など山で咲くのでヤマユリと名付けられました。背丈は1-2mほどで、花期は7-8月頃、花は直径20cm以上とユリ科の中でも最大級で「ユリの王様」とも呼ばれます。
ヤマユリ(山百合)。ユリ科ユリ属の多年草。日本固有種。主たる自生地は関東地方ですが、分布的には近畿地方以北に自生します。山地の林縁など山で咲くのでヤマユリと名付けられました。背丈は1-2mほどで、花期は7-8月頃、花は直径20cm以上とユリ科の中でも最大級で「ユリの王様」とも呼ばれます。
近畿地方では自生地がある程度限られますが、私の知る限りでは、それなりに各地各所で見ることが出来ます。近年は、勝手知ったる奈良県南部の幾つかの自生地を訪ねることが多かったのですが、今年は新たな自生地を探したくなり、奈良県の某所を訪ねました。適当な空き地に車を停め、山麓を探し歩きますが、仲々見当たりません。
ヤマユリの蕾。ヤマユリの蕾は最初は緑色ですが開花直前には白色になります。さて、小さな神社の境内に地元の年配の人が数人休んでおられたので、神社の由来などをお聞きしながら、それとなく「昔はヤマユリなども見られたのでしょうね?」と探りを入れてみますが「ヤマユリ?よく知らんなぁ」と全く花には興味なしの感じでした。
仕方なく、山道に沿ってひたすら歩き続けていますと、前方の山裾にまぎれもなくヤマユリの姿が‥。とにかく花が大きいので、見逃すどころか目立ち過ぎるのも(盗掘されるのでは‥と)ちょっと悲しい気もします。
"花の重みで横倒しになったヤマユリ。花弁は白色で、花弁の内側中央には黄色の太い筋と、周囲には赤褐色の斑点が入ります。江戸末期の文久2年(1862)に、ジョン・ベイナが、ヤマユリをヨーロッパに持ち帰り、ロンドンのフラワーショーに出品したら大絶賛され、1873年のオーストリア万国博では商談が一気に進み、翌々年から球根の輸出が始まります(「ニッポニカ」ヤマユリの文化史・湯浅浩史)。
大きな産業もなかった明治期の農村部では、関東の丹沢山地や中部地方を中心にして、ヤマユリの球根が大々的に掘り出されて、ヨーロッパに売られていきました。その数、なんと2000万球とも云われています。そのため山野に幾らでもあったヤマユリがすっかり減ってしまったそうです。よくもまぁ絶滅しなかったことです。
世界に約100種あると云われるユリの原種のうち、日本で見られるのは15種。そのうち、ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ、スカシユリなど7種が日本固有種です。日本のユリは花も大きくて香りもよく、19世紀にはヨーロッパで絶賛されて、品種改良が進み、今やカサブランカをはじめとして、オリエンタル・ハイブリッド種の原種として、世界のユリの頂点に立っています。
新たな自生地が1つ見つかったと、喜びながら駐車地に戻る途中の、民家の庭に植えられていたヤマユリ。やっぱり大事にしている人もちゃんといたのですね。
ヤマユリは、全国8府県でRDBに登録されていますが、近畿地方では‥京都府:既に絶滅、三重県:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県:準絶滅危惧種、滋賀県・大阪府:情報不足 となっています。
オニユリ(鬼百合)。ユリ科ユリ属の多年草。中国・朝鮮が原産地。古い時代に大陸から渡来しました。牧野博士は「おにゆり(てんがいゆり)。山野にはえる多年生草本で、また食用として栽培もする。もとは支那原産で、野生状態のものから逸失したものと考えられる(牧野・新日本植物図鑑)」とあります、全国の山地や土手などに生えます。花期は7-8月で、花はオレンジ色、花弁の内側には暗紫色の小さな斑点が無数にあります。
7-8年前までは、当地の川の堤防はオリユリの大群生地でした。ところが、台風などによる全国各地の堤防崩壊ニュースが大々的に報じられると、この川も増幅工事と新たな堤防造成が求められ、旧堤防は削り取られ土砂もどこかへ廃棄されていきました。堤防が破壊される直前にオニユリの球根を1つだけ掘り出し、我が家の庭に植えたのが、このオニユリの先がけでした。
オニユリは球根だけでなく、ムカゴを沢山付けますので、それがポロポロと庭に落ちては翌年には新芽が沢山生え出てきて困ります。今ではプランターに5株程度植え直して、プランター2箱分だけ育てるようにしています。今年も一気に花が咲き出したので、プランター1箱分は玄関横に出しました。
オニユリは、背丈1-2mにもなる大型のユリで見栄えはいいのですが、花弁が強く反り返るので、花の真ん中にある大きな花粉が丸出しになり、これが身体や衣服に付くと仲々取れないのが大きな悩みです。
オニユリの珠芽(ムカゴ)。オニユリには種子は出来ません。ムカゴから発芽しますが、花が咲くまで3年くらいかかります。日本のユリでムカゴを付けるのはオニユリだけで、よく似たコオニユリはムカゴを付けず、実生から6年位たたないと開花しません。
オウゴンオニユリ(黄金鬼百合)。ユリ科ユリ属の多年草。オニユリの変種で、日本では対馬だけに自生します。花期は7月から8月で、花弁は強く反り返り、黄色地に赤の斑点があります。日本に自生するオニユリはムカゴを作って繁殖します(無性生殖)。無性生殖では同じ遺伝子が受け継がれるため、有性生殖の場合のように偶然の組み合わせによる多様性はなく、同じ親から産生された個体同士はすべて同じ遺伝子を持つクローンとなります。しかし、対馬のオニユリは、ムカゴではなくタネによって繁殖(有性生殖)します。そのため、変種であるオウゴンオニユリが誕生したと云われています。自生地の対馬では激減しており、愛好家による保護活動がなされています。写真は過年度に「京都府立植物園」で撮ったオウゴンオニユリの再掲載です。
ヤマユリの蕾。ヤマユリの蕾は最初は緑色ですが開花直前には白色になります。さて、小さな神社の境内に地元の年配の人が数人休んでおられたので、神社の由来などをお聞きしながら、それとなく「昔はヤマユリなども見られたのでしょうね?」と探りを入れてみますが「ヤマユリ?よく知らんなぁ」と全く花には興味なしの感じでした。
仕方なく、山道に沿ってひたすら歩き続けていますと、前方の山裾にまぎれもなくヤマユリの姿が‥。とにかく花が大きいので、見逃すどころか目立ち過ぎるのも(盗掘されるのでは‥と)ちょっと悲しい気もします。
"花の重みで横倒しになったヤマユリ。花弁は白色で、花弁の内側中央には黄色の太い筋と、周囲には赤褐色の斑点が入ります。江戸末期の文久2年(1862)に、ジョン・ベイナが、ヤマユリをヨーロッパに持ち帰り、ロンドンのフラワーショーに出品したら大絶賛され、1873年のオーストリア万国博では商談が一気に進み、翌々年から球根の輸出が始まります(「ニッポニカ」ヤマユリの文化史・湯浅浩史)。
大きな産業もなかった明治期の農村部では、関東の丹沢山地や中部地方を中心にして、ヤマユリの球根が大々的に掘り出されて、ヨーロッパに売られていきました。その数、なんと2000万球とも云われています。そのため山野に幾らでもあったヤマユリがすっかり減ってしまったそうです。よくもまぁ絶滅しなかったことです。
世界に約100種あると云われるユリの原種のうち、日本で見られるのは15種。そのうち、ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ、スカシユリなど7種が日本固有種です。日本のユリは花も大きくて香りもよく、19世紀にはヨーロッパで絶賛されて、品種改良が進み、今やカサブランカをはじめとして、オリエンタル・ハイブリッド種の原種として、世界のユリの頂点に立っています。
新たな自生地が1つ見つかったと、喜びながら駐車地に戻る途中の、民家の庭に植えられていたヤマユリ。やっぱり大事にしている人もちゃんといたのですね。
ヤマユリは、全国8府県でRDBに登録されていますが、近畿地方では‥京都府:既に絶滅、三重県:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県:準絶滅危惧種、滋賀県・大阪府:情報不足 となっています。
オニユリ(鬼百合)。ユリ科ユリ属の多年草。中国・朝鮮が原産地。古い時代に大陸から渡来しました。牧野博士は「おにゆり(てんがいゆり)。山野にはえる多年生草本で、また食用として栽培もする。もとは支那原産で、野生状態のものから逸失したものと考えられる(牧野・新日本植物図鑑)」とあります、全国の山地や土手などに生えます。花期は7-8月で、花はオレンジ色、花弁の内側には暗紫色の小さな斑点が無数にあります。
7-8年前までは、当地の川の堤防はオリユリの大群生地でした。ところが、台風などによる全国各地の堤防崩壊ニュースが大々的に報じられると、この川も増幅工事と新たな堤防造成が求められ、旧堤防は削り取られ土砂もどこかへ廃棄されていきました。堤防が破壊される直前にオニユリの球根を1つだけ掘り出し、我が家の庭に植えたのが、このオニユリの先がけでした。
オニユリは球根だけでなく、ムカゴを沢山付けますので、それがポロポロと庭に落ちては翌年には新芽が沢山生え出てきて困ります。今ではプランターに5株程度植え直して、プランター2箱分だけ育てるようにしています。今年も一気に花が咲き出したので、プランター1箱分は玄関横に出しました。
オニユリは、背丈1-2mにもなる大型のユリで見栄えはいいのですが、花弁が強く反り返るので、花の真ん中にある大きな花粉が丸出しになり、これが身体や衣服に付くと仲々取れないのが大きな悩みです。
オニユリの珠芽(ムカゴ)。オニユリには種子は出来ません。ムカゴから発芽しますが、花が咲くまで3年くらいかかります。日本のユリでムカゴを付けるのはオニユリだけで、よく似たコオニユリはムカゴを付けず、実生から6年位たたないと開花しません。
オウゴンオニユリ(黄金鬼百合)。ユリ科ユリ属の多年草。オニユリの変種で、日本では対馬だけに自生します。花期は7月から8月で、花弁は強く反り返り、黄色地に赤の斑点があります。日本に自生するオニユリはムカゴを作って繁殖します(無性生殖)。無性生殖では同じ遺伝子が受け継がれるため、有性生殖の場合のように偶然の組み合わせによる多様性はなく、同じ親から産生された個体同士はすべて同じ遺伝子を持つクローンとなります。しかし、対馬のオニユリは、ムカゴではなくタネによって繁殖(有性生殖)します。そのため、変種であるオウゴンオニユリが誕生したと云われています。自生地の対馬では激減しており、愛好家による保護活動がなされています。写真は過年度に「京都府立植物園」で撮ったオウゴンオニユリの再掲載です。
コメント
コメント一覧 (8)
オウゴンオニユリ・・なるものがあるんですね、初めて知りました。
コメント有難うございます。
当地は京都府内ですのでヤマユリは絶滅しています。しかし、奈良市までは車で10分ほどなので、奈良県に植物観察に行くことが多く、特にヤマユリは奈良県ではあちこちで見られるので助かっています。オウゴンオニユリは私も京都府立植物園で初めて出会って、知りました。
コメント有難うございます。
こちらではオニユリはよく見るのですが、コオニユリを見ることが少なくなりました。今回、写真を撮ろうと探しましたが、出会いがなく、仕方なく割愛しました。ユリは、これからもタカサゴユリやシンテッポウユリが咲き出し、まだまだ楽しめると思います。
ヤマユリの新たな自生地発見ですか、いいですね~(^-^)
ようこそとでもいうように大輪の花が迎えてくれて、探しに行かれた甲斐がありましたね!
前に見せて頂いた面影を重ねながらうっとりと拝見させて頂きました、ありがとうございます。
家のプランターでもどこからやって来たのかオニユリが咲きました。でもそんな風に増えるのですね。同じくどこからともなくやって来たヤブカンゾウは威張りすぎてちょっと困っています。
コメント有難うございます。
長年親しんだヤマユリの自生地1ヶ所が、昨年から見られなくなりましたので、新たな自生地をいろいろな情報から推測して、ダメモトで探しに行ってみました。なんとか探し当てることが出来ました。まだこの地区では探せばありそうでしたが、詳しい地図もなく自分の位置さえ分からなくなりそうで、来年もう一度訪ねることがあれば探して見たいです。オニユリは我が家の狭い庭では花粉が衣服や肌のあちこちに付着して大変でした。花を咲かせず、球根を太らせて食用にしてしまおうか‥と思ってしまいます。ヤブカンゾウは昔、新芽の時に採取してきて「酢味噌あえ」にして、よく頂きました。花と蕾も「おひたし」などにすると美味しいそうですね。
コメント有難うございます。
今年はあの世の入り口近くまでさまよいました。お蔭さまで身体も元に戻りましたが、体力はガタ落ちで(長く歩くのも辛くて)、外出も週1回程度、近郊の山野に出かけていますが、出来るだけ近くまで車で行くようにしています。昨年には、今まで一番近くだったヤマユリ自生地が完全に消滅しましたので、新たに出来るだけ近くの自生地を探しに行った次第です。