7月に出会った山野草たちです。
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イワタバコ(岩煙草)
。イワタバコ科イワタバコ属の多年草。東北以南の山地に分布します。滝や渓流沿いの岩壁、あるいは湿り気のある岩肌などに生えます。花期は7-9月頃、葉の根元から高さ10cmほどの花茎を伸ばし、散形花序に紅紫色の花を付けます。花は星型で愛らしく、花冠は5裂し、花の大きさは1-2cm程、花被片は後方へ大きく反り返り、通常3-5個ほどの花を下向きに咲かせます。
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北向きの日が当たらない湿った場所や、山の渓流の岩場などがイワタバコの生息地です。
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イワタバコは、言うまでもなく「葉がタバコの葉のように大きい」ことから名付けられました。葉は1株に1-3枚しか付かないうえ、岩場のため根が生育しにくく繁殖力が弱いので、洪水や土砂崩れなど常に絶滅と向き合っている植物です。
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イワタバコは、全国8県でRDBに登録されていますが、近畿地方では今のところ無指定です。
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コバギボウシ(小葉擬宝珠)。キジカクシ科ギボウシ属の多年草。全国の日当たりの良い湿った草原や湿原に自生します。花期は7-9月。花茎の高さは30-50cmくらいで、漏斗型の濃い紫色から淡紫色の花をやや下向きにつけます。筒部に透明な線があります。
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オオバギボウシ(大葉擬宝珠)。キジカクシ科ギボウシ属の多年草。本州中部地方以北の日陰や湿り気のある場所に生えます。葉はひと束になって生える根生葉で、葉の長さは30-40cm、幅は10-15cmくらいで、長い葉柄があります。花期は6-8月で、花茎は高さ140cmほど、白色または淡紫色の花をやや下向きにつけます。
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ガマ(蒲、香蒲)オオガマとも云います。ガマ科ガマ属の多年草。全国の浅い水辺に生えます。葉の幅はガマ3種(ガマ、ヒメガマ、コガマ)の中では一番太くて、1.5-2.0cmほどあります。花期は6-8月、葉よりも高く茎を伸ばし、頂に円柱形の花穂をつけ、上部は黄色い花粉をまき散らす雄花穂、下部の緑色部は雌花穂であり、雌雄花穂はつながってついています。雌花穂は一番大きくて10-20cmほどです。
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こちらは、上部の雄花穂はすでに枯れて脱落しかけていました。通常見かけるガマは、こちらの姿が多いです。
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コガマ(小蒲)。穂は雄花のすぐ下に雌花がついています。雌花穂は3種の中では一番小さくて7-10cmほどです。葉の幅も一番細くて0.5-1.0cmほどです。
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こちらのコガマも上部の雄花穂は枯れて脱落し、下部の雌花穂だけが目立っています。コガマは、全国16府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥京都府・兵庫県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府・奈良県・三重県:準絶滅危惧種、滋賀県:その他重要種 となっています。
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ミソハギ(禊萩)。ミソハギ科ミソハギ属の多年草。全国の日当りのよい湿地に生え、茎は直立し、披針形の葉が対生します。花は紅紫色6弁の小さな花を先端の葉腋部に多数つけます。
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ミソハギはお盆の頃に咲く花ですので、お盆の供花として使われることが多く、ボンバナ(盆花)、ショウリョウバナ(精霊花)などの別名があります。
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タコノアシ(蛸の足)の花。タコノアシ科タコノアシ属の多年草。全国の湿地や沼、休耕田などの湿った場所に生育します。花期は8-10月で、花は直径4-5mmほどで、通常花弁はなく、全体が緑白色なのであまり目立ちません。萼筒は長さ1.5-2mm、上部で5裂ないし6裂します。秋になったら真っ赤に熟して、「茹で蛸の足」のようになるのが名前の由来です。
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タコノアシは、環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)で、全国39都府県でRDBに登録され、近畿地方では‥京都府:絶滅危惧Ⅰ類、奈良県・和歌山県・三重県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府・兵庫県:準絶滅危惧種 となっています。
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オグルマ(小車)。キク科オグルマ属の多年草。全国の日当たりのよい湿地、池畔、用水路脇などに生えます。花期は7-9月、茎は上部の葉腋からよく側枝を出し、茎頂や枝先に数個の頭花をつけます。
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花は直径3-4cmほどの黄色で、周辺の舌状花と中心の筒状花からなっています。頭花の下の柄には上向きの白い毛が密にあります。和名は小車の意味で、花を小さな車に例えたものです。
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オグルマは、全国19都府県でRDBに登録されており、近畿地方では‥大阪府・和歌山県:絶滅危惧Ⅰ類、京都府:絶滅危惧Ⅱ類、兵庫県・奈良県・三重県:準絶滅危惧種、滋賀県:その他重要種 となっています。